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前回までのおさらい
ここまで「システム」とは何か、そして企業にとってなぜ「システム」が必要なのかについてお話ししてきました。
企業にとってシステムとは、人の時間を創出し、企業戦略や販売戦略に適切な人員を配置することで、
企業の成長を実現するためのものです。
第1回:システムとは?基礎からわかる仕組みと効率化の重要性
第2回:なぜ企業にシステムが必要なのか
さて、前回もお話しした通り、企業はシステムがなくても業務を成り立たせることは可能です。
しかし、システムを導入しなかった企業には、暗い未来が待っているかもしれません。
今回は、システムを導入しなかった企業に訪れる未来をシステム導入した場合と比較してお話しします。
システムを導入した企業と、しなかった企業の比較
システムを導入していない製造販売企業を例に挙げてみましょう。
【システムを導入していない場合】
システムを導入していない場合、営業担当者・製造担当者・出荷担当者それぞれが、各自の業務に必要な情報を個別に管理しています。
多くの現場ではExcelなどを活用し、独自に作り込んだ管理ツールを利用していることも少なくありません。
営業・生産・出荷それぞれの部門では異なる情報が必要とされ、目標やKGI/KPIも部門ごとに設定されています。
「製品を製造し、お客様に届ける」という大枠の中で、様々な部署が独自の情報を扱い、
システム化されていない場合には、これらが各部門で独立した形で管理され、
ファイルサーバー上で形式的に共有しているのが現状でしょう。
このような状況では、「依頼書」や「報告書」などの紙書類が飛び交い、担当者への個別連絡も頻発に行われます。
さらに、せっかく得た情報が更新されてしまうと、持っている情報が古くなる場合もありますが、その情報の鮮度を確認する手段もありません。
こうして、情報管理や情報伝達に人の時間が割かれ、リアルタイムでの情報共有ができないという課題が生じます。
最悪のケースでは、営業が生産計画担当に製品在庫数を確認してお客様に納期を約束したのに、
他の営業が別の出荷依頼を行ってしまい、最初に約束した納期が守れないといった事態も起こり得ます。
これはお客様にご迷惑をかけるばかりか、企業にとっても大きな機会損失です。
一方、システムを導入した製造販売企業を見てみましょう。
【システムを導入している場合】
システムの多くは、特定の業務フローや複数の工程を網羅して設計され、必要な情報や経路が統合されています。
そのため、必要な情報がすべてシステムに集約されており、ユーザーは常に最新の情報にアクセスできるようになります。
システムを活用することで、営業担当者もシステム内の生産計画や在庫情報を基に、
お客様に納期を回答することが可能です。
さらに、製品の引き当ても行えるため、他の営業に在庫が取れられるリスクも防げます。
結果として、お客様に約束した納期に製品を届けることができます。
製造販売業の「お客様への納期」という一部の業務を挙げただけでも、
システム導入の有無によって大きな違いが出ることが分かりますね。
システムを導入しなかった企業に訪れる未来
前の章では、システムを導入することによる情報の集約と業務効率化が生み出す効果についてお話ししました。
システム導入により業務の効率化や正確さは確実に向上しますが、業務自体が成り立たないわけではありません。
「情報の管理」や「情報の伝達」に人員を割き、運用ルールを改善することで、
ある程度システム導入企業と同等の業務効率を目指すことも可能です。
でもちょっと待ってください。
「情報の管理」や「情報の伝達」に人員を割くということは、余分な人的コストがかかるということです。
システムを導入した企業と比べて、余計な人的コストがかかってしまいます。
単純な比較はできませんが「システム」を使うか「人」を使うかの選択ともいえます。
さらに、「情報の管理」「情報の伝達」を人が担当する場合、情報の属人化が進んでしまいます。
特にExcelで業務を行っている企業では、作り込まれた複雑な管理シートが存在することも多いのですが、
このような「情報管理」を担当していた社員が突然退職したらどうなるでしょうか?
実際に私が担当した企業でも、担当者の退職により製造工程のいくつかのチェック項目が欠落し、
最終的な製品品質に影響が出てしまったケースがありました。
これは極端な例ですが、引き継ぎ後に同じパフォーマンスを発揮するには時間がかかり、その間、
企業の成長は足踏みしてしまいます。
システムを導入しない企業が足踏みをしている間、導入した企業は人材を成長戦略に活用し、
どんどん前進していきます。
そうです。システムを導入しなかった企業は、同業他社にどんどん置いて行かれてしまうのです。
このように周りから置いて行かれる企業では人材の流出も加速します。
貴重な人材を失った企業の未来は・・・おのずと想像がつくのではないでしょうか。
終わりに
2018年、経済産業省がDXレポートを公開して以来、「DX」という言葉が普及し、
ビジネスのトレンドとなりました。しかし、使われ過ぎた言葉であるため、
「DX疲れ」と揶揄されることもあります。
ですが、ちょっと待ってください。
DXを「疲れた」と言うにはまだ早いです。
例に挙げたシーンのように、テクノロジーを使った業務改善のアプローチは様々な方法(デジタルツイン、IoT、パッケージ導入や受託開発…etc)があります。
その中で「最適」と呼べる方法は何でしょうか?
その答えのひとつは、第1回のブログでも触れた企業理念を実現するためにデザインされた「実行手段」というアプローチだと考えています。
今回のブログでは、システムを導入しない企業には暗い未来が待っている可能性がある…という結論でしたが、
必要なものがCRMなのか、MESなのか、BOMなのか、在庫管理なのかを見極め、どこから始め、どこに向かうべきかを話し合うことが重要です。
こうした検討過程は、自社の将来像について真剣に取り組むエネルギッシュで創造的な時間となるのではないでしょうか?
我々再春館システムシステムは、パッケージシステムのようなソリューションは持っていませんが、
「お客様の悩みに寄り添う」ことを何よりも重視し、共に解決に向けて歩んでいきます。
そしてその先にこそ本当の「DX」があると信じています。
次回はその具体例として「BizDevOpsによる伴走型」についてお話ししたいと思います。お楽しみに!
記事:BSサービス事業部 Y.I