第1回:システムとは?基礎からわかる仕組みと効率化の重要性
第2回:なぜ企業に「システム」が必要なのか
第3回:システムを導入しなかった企業の未来
第4回:再春館システムができるコト
目次
Contents
はじめに
この連載では4回にわたって「システム導入の真の目的と企業成長への道」というテーマでお話しします。
現代のビジネス環境において、企業の競争力を維持・強化するためには、効率的なシステムの導入が欠かせません。
しかし、システム導入の真の目的を理解し、その目的に向かって適切に進めることが重要です。
第1回目は、「システム」について掘り下げていきます。
システムとは
「システム」とは一体何のことでしょうか?
ITの視点から見ると、基幹システムや生産管理システムなど、プログラムで構築されたモノの総称を指すことが多いと思います。
「システム」の本来の意味を一言で表すと「仕組み」です。
今回は「システムってなんぞ?」についてお話ししたいと思います。
システムとは「業務を効率化するために生み出されたコト(仕組み)」
古代エジプトでは王の墓としてピラミッドが建築されました。
クフ王のギザの大ピラミッドにおいては、一個あたり平均2.5~7トンの石材を切り出して建築現場に運ぶ必要がありました。その総数は230万個とも言われています。
実に膨大な作業量です。これは効率を考えなければ永遠に終わりません。
当時はゴム製のタイヤなどはなく、木で作ったソリに載せて運んでいたようです。
石材の運搬を「効率化」するため、砂を水で濡らしてソリの滑りを良くしたり、建築場所を採石場の近くにしたり、様々な工夫がされました。
これらは「ピラミッドを建築する」という「業務を効率化」するために生み出された立派なシステムといえます。
このように、実施している業務、あるいは目指したいゴールへ至るための工程を効率的に行うために工夫して実装された「仕組み」、それが「システム」です。
このように考えると人類は太古の昔より、効率化に余念がありませんね。
現代における「システム」とは
業務効率化のために生み出された「システム」ですが、システムを考案した人以外が運用するためには、システムを運用するための「情報」が必要です。
古代エジプトのピラミッド建築においては、考案されたシステムは口頭による伝承で受け継がれていたことでしょう。
いつしか情報を伝達するために「言語」が開発され、石板などに文字で残すことでさらに多くの人に情報を伝達できるようになりました。
その後、記録や運搬、保管の効率化のために「紙」が開発され、紙に記録する業務を効率化するために「印刷」が開発されました。
そして現代では「紙の情報」が電子データとなり、より早く、より効率的に情報の伝達や活用ができるようになっています。
現代における「システム」とは、電子データで記録した情報を効率よく伝達し、業務を効率化することを意味しています。
冒頭で「システムはプログラムで構築されたモノ」と述べましたが、現代の「システム」の捉え方としてはあながち間違いではないことがわかりますね。
変わっていく概念
これまで「システム」とは「効率化」のための仕組みと述べてきましたが、昨今では「効率化」そのものが手段と捉えられ、「システム」においても、その目的が「効率化」から「目的を達成するために必要なツール」と考えられるようになっています。
この段階においては「効率化」は前提条件であり、目的ではなくなってしまいます。
我々のようなシステムを構築する企業も「業務効率化」は目的ではなく、「効率化」した先(あるいは出発点)として、「何を成したいか」に焦点を当て、顧客の真の目的に対して「システムの構築」をご提案しなければなりません。
また、システム実装方法もシステム構築企業のベンダー依存から自社メンバーによる内製化へシフトしています。
それは、「システム」への理解が「効率化」から「目的を達成するために必要なツール」へと変化してきたことに起因していると考えられます。
ベンダーの提供するいわゆる「業務支援パッケージ」は効率化に重きを置いた設計になっており、その通りに業務を変更していければ効率そのものの向上は可能だと思います。しかし、実際に私が携わった案件では、そのような業務支援パッケージを使いこなしているお客様は少なく、その業務がバックエンドからフロントエンドになるほど顕著だと感じています。
少し前までは「効率化します!」と言っていれば良かったですが、時代は変わっていくものですね。
ー閑話休題
終わりに
「システム」とは業務を効率化するために生み出して運用するものでした。しかし、この概念が変わってしまったことは前述のとおりです。
すべての企業には「企業理念」があり、それに基づく「vision・mission・value」を掲げています。
「システム」とはそれらを実現するためにデザインされた「実行手段」ではないでしょうか?
我々再春館システムは、事業会社である「再春館製薬所」の掲げる「企業理念」の実現のため、その手段を「プログラムで構築されたもの」によって表現してきました。
今では、そのような概念や運用を総称し「BizDevOps」と呼んでいますが、それについてはまた次回以降で触れていきたいと思います。
次回は「なぜ企業にシステムが必要なのか」について語ります。
記事: Y.I