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はじめに
再春館システムベトナムのT.Mです。
近年、特にコロナ禍を境に電子商取引(以降、EC)の市場は目覚ましい成長を続けています。
成長を示す指標の一つとして、「ECの巨人」と言われるAmazonの2023年(1 – 12月)業績は、
・売上高 : 5,747億8,500万ドル(前年比11.8%増)
・営業利益: 368億5,200万ドル(前年比3倍増)
・純利益 : 304億2,500万ドル(前年比38倍増)
となっており、いずれも過去最高値を記録しています。
Amazon全体の業績であるため、AWSなどの他事業も含まれてはいますが、特に北米・欧州市場におけるEC成長率は顕著なものだったようです。
ベトナムには残念ながらAmazonは進出していないのですが、ベトナム国内で圧倒的シェアを誇るECサイト「Shopee」のベトナムにおける2023年のデータは下記と言われています。
(注:公式発表ではなく、あくまで推定)
売上高 : 前年比50%増
注文数 : 前年比60%増
アプリダウンロード数 : 1億7000万回
特にShopeeアプリのダウンロード数はベトナム国民の80%がダウンロードしていると言われており、確かに周りのベトナム人はShopeeでよく注文やデリバリーしている姿が見受けられます。
自分がベトナムに来たほんの数年前はShopeeなど存在すらしてなかった(認識できないレベルだった)のですが、ここ数年で一気に日常生活になくてはならない存在になっているように感じています。
さて、そんなECについて、前回はECサイトを構築するために選択肢となるECプラットフォームを皮切りに、EC-CUBEについて紹介させていただきました。
【前回記事リンク】
なぜ、EC-CUBEが選ばれるのか?
今回は実践編として、EC-CUBEの開発環境構築の観点から、EC-CUBEの導入のしやすさに焦点を当てた紹介をしていきたいと思います。
EC-CUBEサイト構築
EC-CUBEは当然ながらWebサイトになるので、開発環境を構築するにあたり、まずは下記を用意する必要があります。
・Webサーバー : Apache 2.4 以上
・PHP : PHP 7.4.0 以上
・データベース : MySQL 5.7以上
参考:EC-CUBE 4 開発者向けドキュメントサイト システム要件
今回は開発環境構築になるので、上記全てがパッケージされた「MAMP」というソフトウェアを用いて構築します。
実際のサイト運営をする場合の環境を構築する場合は、別途、物理サーバやAWSなどのクラウドサーバを準備した上で、そちらに構築する必要がありますのでご認識ください。
次にEC-CUBEの本体アプリケーションを準備する必要があるのですが、こちらはすでにパッケージ化されたものをEC-CUBE公式サイトよりダウンロードします。
ダウンロードに際し会員登録は必要ですが、アプリケーション自体は無料である点がEC-CUBEの強みと言えます。
参考:ダウンロードサイト
ダウンロード後から環境構築完了に至る手順は下記となります。
・ダウンロードした圧縮ファイルを解凍する
・MAMPの「htdocs」配下に上記フォルダごとコピーする
・MAMPの各サービス(Apache、MySQL)を起動する
・MAMPのMySQL上に空DB作成しておく
・EC-CUBEにアクセスする
(http://localhost:<MAMPのApache Port>/<EC-CUBEのフォルダ名>)
・ウィザードに従って、各種設定を設定する
以上です。
上記完了後に再度EC-CUBEにアクセスすると、サンプルの画面が表示され、実際に購入の一連の流れを確認することができます。
文章にするととても簡単に見えますが、実際に実施してみてもすごく簡単に構築できます。
慣れた人であれば15分くらいで構築することが可能で、この構築・導入のしやすさも強みの1つといえます(※但し、運用の観点での管理者パスワード設定などは、時間をかけて検討します)
アプリ自体はフリーで、かつ構築自体のシンプルさから、EC-CUBEは導入コストを低く抑えることができます(※但し、各種設定やインフラ周りの構築が別途必要です)
拡張機能(プラグイン)の導入
前章にて、環境自体は簡単に構築できることがなんとなくご理解いただけたかと思いますが、あくまで最小構成となるため、実際にはオンライン決済サービスの導入やメールマガジンなどといった機能が必要となってくる場合があります。
この点に関して、EC-CUBEではプラグインという形で公式・非公式に用意されています。
構築したEC-CUBEの管理画面からも選択・導入可能です。
プラグインにない機能やデフォルトにはない画面に関しては、アドオンで機能実装することで、多種多様な機能・画面の実現が可能となります。
弊社でも開発実績があるのですが
例えば、
・複数店舗化への対応(デフォルトでは1サイト = 1店舗)
・店頭用タッチパネルへの対応
・クーポン機能の追加
・マイページ画面デザインの刷新
・各種APIの実装による外部連携の実現
などが挙げられます。
もし上記と似た機能の導入をお考えであれば提案可能かと思いますので、是非ご相談ください。
もちろん上記以外のテーマでもご相談可能です。
まとめ
今回はEC-CUBEの環境構築の観点から、EC-CUBEの導入のしやすさについて紹介させていただきました。
導入が困難だとどうしても二の足を踏んでしまいがちですが、本記事を通して、少しでもEC参入への敷居を下げることができていれば幸いです。
これからの時代、ますますEC業界は盛り上がっていくことが予想され、2025年の世界EC市場規模は7.9兆ドル(約930兆円)に達すると見られています。
スマートフォンの普及はもちろんのこと、キャッシュレス決済の普及やAIの導入、その他様々な技術革新や新たなビジネスモデルの登場がEC市場のさらなる成長を促すことは容易に推察できます。
次回はこれからのEC業界の動向、未来予想図についての内容で執筆予定です。
記事: T.M