2020年10月5日

サブスクリプションモデルとLTV

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サブスクリプションモデル

サブスクリプションモデルとは、商品ごとに購入金額を支払うのではなく一定期間の利用権として料金を支払うモデルの事を指します。契約期間中、定められた商品を自由に利用できますが、期間がすぎれば利用できなくなるのが一般的で、「サブスク」とも略されます。EC通販においては、契約期間中に定期的に商品を届ける定期購入型の販売方式を指します。

昨今、新しいサービスを始めるなら、売り切りの販売モデルではなく、サブスクリプションモデルを目指そうとする企業をよく目にします。こうしたモデルの背景には、消費者が「モノよりコト」、「所有ではなく利用や体験」といったニーズの変化が影響しています。企業が安定的な収益を得る為にとも考えられますが、見るべきポイントは「お客様」で、このサブスクリプションモデルの成功において、最も重要な事は、「お客様が商品やサービスを “使い続けたい気持ち” になること」なのです。企業が重要視するべき事は、「商品やサービスを ”お客様に選び続けてもらうためには” 」であると、コアコンセプトをしっかりと認識する事も重要です。
また、マーケティング活動の中では、新規獲得のプロモーションを重き置くのではなく、商品やサービスを購入して頂いてから、継続して購入や利用して頂く為の活動、すなわち「リテンションマーケティング」が重要なのです。

「リテンションマーケティング」の中で常に意識される指標は、LTV(顧客生涯価値)です。このLTVの向上の為にも、まずはその数値の定義を理解しておきましょう。

LTV(顧客生涯価値)とは?

LTVとは「Life Time Value」の略称で、日本語では「顧客生涯価値」と呼ばれています。
あるお客様(顧客)が、最初のサービス利用(初回購入)してから、サービス利用の終了までの期間に、自社に対してどれだけ利益をもたらしたか、収益の総額を算出するための指標です。


LTV(顧客生涯価値)の算出方法

LTVの算出方法には数種類存在します。特におさえておくべき3つの方法は以下のとおりです。

1)LTV = 平均購買単価 ×平均購買頻度 × 平均継続期間
2)LTV =(平均購買単価 × 平均購買頻度 × 平均継続期間)-(新規獲得費用 + 顧客維持費用)
3)LTV = 顧客の年間取引額 × 収益率 × 継続期間

1)LTV = 平均購買単価 × 平均購買頻度 × 平均継続期間
LTVの算出方法のうち、最も一般的な計算式です。顧客毎の平均値を元に算出する方法。
平均顧客単価(10,000円)×平均購買頻度(年5回)×平均継続期間(5年)だった場合のLTVは、250,000円となる。

2)LTV = (平均購買単価 × 平均購買頻度 × 平均継続期間) - (新規獲得費用 + 顧客維持費用)
顧客の新規獲得や既存顧客維持費用を考慮に入れる方法。
平均購買単価(10,000円)× 平均購買頻度(年5回)平均継続期間(5年)
新規獲得費用 年間20,000円、顧客維持費用が1顧客あたり年間5,000円だった場合、
(10,000×5×5)-(20,000円+5,000円) で、LTVは225,000円となる。

3)LTV = 顧客の年間取引額 × 収益率 × 継続期間
1社あたりの収益/利益を考える方法です。
特定の顧客との年間取引額が120,000円×収益率50%×5年の取引があった場合、300,000円のLTVとなる。

LTV(ライフタイムバリュー)を向上させるには?

上記のLTVの計算式は、平均購買単価、購買頻度、継続期間、収益率、新規顧客獲得コスト、既存顧客維持コストという6つの要素が
含まれています。各要素を向上させる(コストについては削減する)ことにより、LTVを高めることが可能となるのです。

【単価を上げる】
例としてセット販売の実現があります。商品を単品販売ではなくセットで販売することで平均購買単価を上げる方法です。
セットにする事によって、お客様にとってメリットがある内容(よりよい結果を生む事)に注目し、さらに価格的にもお得感がある場合は、平均購買単価アップとなる率が高まります。「お客様の複数購入の組み合わせで選ばれるモノ」を分析すると答えがでるかもしれません。

【購買頻度向上】
リマインドメールの配信などにより購買頻度をアップさせる方法です。買い替え時期や、お客様の頻度を把握し、配信のベストなタイミングを分析・実行できれば、頻度アップにつなげる事が可能です。まずは、「お客様の購買頻度」を把握する事からです。

【継続率アップ】
契約の継続期間が延びれば、その分LTVは向上します。一度商品を売って満足するのではなく、購入してくれたお客様を優良顧客に育成することを考えましょう。

【収益率アップ=コスト抑制】
販売価格に対してコストを抑える事ができれば、当然ながら収益率はアップします。社内にかかる様々なコストを見直し、スピードアップ、生産性向上、効率化などのテーマに取り組む事で、コストを抑制できます。

その他にも、お客様の満足を追求しファンになって頂く為の気遣いや心遣いを施したり、あるいはグレードアップや新たなサービスの紹介(アップセルやクロスセル)をすることなど、対応手段としては、組み合わせも含めると数え切れない種類が考えられますが、前述の6つの要素のうちどれかによい影響を与える事ができれば、効率のよい収益に繋がるのです。お客様に継続的に商品やサービスを購入して頂ける環境を創り出し、組織としてそれを仕組みとして維持できれば、LTVは自ずと高まっていくでしょう。

 

記事 : Yoshifumi Tsujimoto

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