2022年8月22日

DXと2025年の崖

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新型コロナウイルスの感染拡大防止対策としてテレワークの普及や2025年の崖の問題により、DXという言葉が注目されています。みなさんもテレビや新聞などのメディア、SNSで見かける機会が増えてきたのではないでしょうか。

一方で、DXには明確な定義がないことや、似た言葉(IT化、デジタル化、デジタライゼーションなど)が存在するため、わかりにくいという話をよく聞きます。
また3年後に迫った「2025年の崖」問題も耳にすることが増えてきました。

そこで今回は世間的に注目されているDX、2025年の崖がどういうものなのか説明していきたいと思います。

DXとは

まずは2025年の崖の前提知識であるDXの説明です。

デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation、TransをXと略すため)とは、「IT(情報技術)の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念で、デジタルによる変革を意味しています。 ビジネス用語では「DX」と表記されることが多く、IT(情報技術)の活用で、効果的に価値創造と提供ができるよう、ビジネスや組織の活動・内容・仕組みを戦略的、構造的に再構築することとされています。

変化の激しいIT業界で市場における競争優位性を維持するために大事なテーマとなっています。

余談ですがDXには定義、解釈が複数あり経済産業省ではこのように定義しています。

※参考:経済産業省 「DX 推進指標」における「DX」の定義
https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

※DXについて他の記事を見たい方はこちら
ウィズコロナ時代のお客様接点とリテンションをDXで進化させる(1)
〜人を想う心を大切にする、個別対応〜

ウィズコロナ時代のお客様接点とリテンションをDXで進化させる(2)
〜人を想う心を大切にする、個別対応〜

2025年の崖とは

経済産業省が発表したDXレポート「〜ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開〜」によると、日本の企業はDXを進めなければ、デジタル競争において、非常に不利な状況に陥り、2025年以降には、国内で年間約12兆円の経済損失が生じる可能性があると予測しています。
この経済損失のリスクや問題を「2025年の崖」といいます。

以下にその問題の詳細を記載します。

問題1:既存システムの老朽化、肥大化、複雑化、ブラックボックス化
長い年月を掛けて機能追加や不具合を修正してきた結果、システム全体が肥大化し内部構造が複雑で難解なものになってしまっており、古いシステムや技術に知見のあるエンジニアがいなくなると一部の機能がブラックボックス化し、設計・仕様を把握することが困難になってしまうのです。(技術的負債の蓄積)。
同時に、メンテナンスする際の難易度、コストが跳ね上がってしまいます。

問題2:レガシーシステムを維持するエンジニア不足と保守費用の高騰
DXレポートでは2025年には21年以上稼働している基幹システム(レガシーなシステム)が全体の60%を占めるようになると予測されています。
これを人材面で考えるとレガシーなシステムに積極的に携わりたいエンジニアが不足していることや、古いCやJavaで書かれたシステムを扱えるエンジニアやCOBOL、FORTRANを扱えるエンジニア人材が不足(母数も少ない)し、人材確保が困難になると言われています。その結果、システムを稼働させていくコストが高騰すると考えられています。

問題3:アプリケーションのサポート切れ
新しい脆弱性や不具合が見つかってもサポートが切れている場合は、各種パッチが提供されなくなります。
このままでは外部から脆弱なセキュリティホールから攻撃されるリスクや、障害発生の可能性を抱えたままとなり、これらのサポート切れや、セキュリティに関する問題を解決するためのコスト(費用や時間)が必要になります。

また、こうしたレガシーシステムの保守・運用にリソースが割かれてしまうことで、新しい技術(AI、IoT、ビッグデータ、クラウド、etc)を使ったサービス開発に着手できなくなるのは、さらに深刻な問題です。

※参考:経済産業省 DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html

2025年の崖の対策を考える

では2025年の崖を対策するためにはどのようなアクションが有効なのか調べてみました。

1.「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」で考察する
経済産業省が公表した資料でDX推進のための経営のあり方・仕組み、DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築について書かれています。
どこから手を付ければ良いかわからない場合の指標となる物事が書かれています。
先行事例、失敗ケースも掲載されています。

※参考:経済産業省:デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx_guideline.pdf

2.経済産業省の「DX推進指標」で自己診断してみる
こちらも経済産業省が公表した資料でDXの取り組み状況を自己診断するための資料です。
現状を診断することでDX推進の目標、関係者との認識合わせ、ギャップの理解を行うことで今後の取り組みを考える基礎を作ることができます。

※参考:経済産業省:デジタル経営改革のための評価指標(「DX推進指標」)を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003.html

DX 具体例

DXの推進が大事なことはわかりましたが自社で扱っているビジネスと新しい技術を紐付けて形にするのは中々難しいと思います。
そこで筆者の体験談をご紹介いたします。

筆者は過去に旅行業界に従事しており、ホテル販売サービスの領域を担当していました。
DX前は毎日全世界のホテルから発信されてくる新しいルーム情報を人手で解析、修正していたので大きなリソースを割いており問題になっていました。

何か打開策はないか考えた結果、ルーム情報の解析業務・修正業務をAIに代行させるよう、業務変更を実施しました。このAI実装の業務変更で、日々送信されてくるデータの9割5分を自動で解析、修正できるようになり大きく人的リソースのコストカットと業務スピードアップに貢献することができました。

この時、全てのデータに対して自動化できなかったのは悔やまれますが、AIの学習プロセスが完了していない単語(表現)を使ったデータが送られてきた場合は、正確に処理することができませんでした。

当然のことなのですが、AIは効率化には有効なのですが、あくまで過去の統計情報をもとに機械的に分析するだけであり、未知のデータに対してはどうしても判断することが難しいのです。

こういう時は、システムの完全性を追求するより、人がサポートに入った方が開発コスト、業務運用コスト、両面で見ても良いということでした。
単純な作業はAI、高度な思考が必要な作業は人が考えるという形でしょうか。

人、AIそれぞれ得意領域が違うので今後もその点を意識してビジネスにうまく繋げていきたいと考えております。

今回はDX、2025年の崖に関する話をさせていただきました。
少しでも皆様の参考になれば幸いです。

記事 : Y.A

伴走型支援「BizDevOps」システム構築BXシステム構築