2021年3月15日

【B2B】コロナ禍で進むセールス活動のDXとは?
マーケティング・セールスにおける「MA」「SFA」「CRM」とコールセンターを考えてみる

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コロナ禍で変わってしまったセールス活動

新型コロナウィルスの影響により、B2B事業において定着しつつあるインサイドセールス活動。これまでの外回りのセールス活動を、オフィスの中や在宅環境で行う事を指しますが、コロナ禍で在宅勤務・非対面営業が一気に普及し、一時的な変化ではなく確立されたスタイルとなってきているのではないでしょうか。私達のIT業界では、お客様との打合せを含めて、会議のほとんどがオンラインに代わりました。企業によっては、コストカットの効果があることから、オフィスに出勤しないワークスタイルへ全面的に変える方針も見受けられます。ある程度、業界によって温度差はありますが、メーカーや製造業でのセールス活動においても浸透してきています。

かつてのセールス活動といえば、飛び込み営業やテレアポなどで得た見込顧客のリストから単純な売り込みをする「プッシュ型営業」や、すでに契約を頂いている既存顧客のお客様リストから顧客へお困り事がないか聞き回る「御用聞き営業」などが存在しました。単純な確率論から、年間の受注目標から割り出された月間訪問目標件数をこなし、とにかく数をこなすことが重視され、一日何十件というアプローチ経験のある営業マンは少なくないはずです。

しかしながら、デジタルマーケティングが当たり前になった時代では、Webサイトからの集客を主体とする「プル型営業」が増加し、SNSの台頭により可能となったインフルエンサーマーケティングなど、お客様の認知度を上げるための手法が多様化してきました。 これにより、お客様からの問い合わせを頂いたリードを元にセールス活動する事が多くなり、マーケットの中から如何にリードを効率よく獲得するかがポイントとなる時代に変わってきたのです。同時にこれらを実現するツールも時代と共に変化してきました。そしてその仕事を扱う組織は、マーケティング部門、セールス部門、サポート部門など各部門において役割分担してきたものが、コロナ禍により、さらに細分化され、インサイドセールス担当、フィールドセールス担当、アポイントを取る人、提案を行う人、クロージングで契約を締結する人など、細かい役割設定せざるを得ない状況にも変化してきています。

さて、そんな業務の細分化が進む状況で、それらを実現するツールをみてみると、マーケティング部門、セールス部門、サポート部門で扱われるのが、「MA」「SFA」「CRM」の3つが代表的なツールといえます。そしてこれらは、間違って理解される事の多い3つのツールでもあります。まずはこれらの特徴をおさえたいと思います。

MAとは?

MAは「Marketing Automation(マーケティングオートメーション)」の略で、マーケティング活動の自動化を意味しています。見込顧客創出から育成、案件抽出などを目的としており、見込顧客に対して有益な情報を最適なタイミングで提供することで、購買意欲を高めることを目的としています。

アナログ時代のマーケティング活動では、あらゆるチャネルからアクセスされるユーザーに対して、一人ひとりに最適な対応をすることは難しく、マーケティング担当の作業が煩雑化してしまい、ニーズに合ったアプローチができず、商談化確率(成約確率)の高い見込顧客を見逃してしまう課題がありました。

MAは、それらの課題を解決するために、マーケットに存在する潜在見込顧客の活動を見える化する為のツールの総称です。
MAツールの導入で、見込顧客のアクセス頻度や行動履歴、属性情報などを把握し、スコアリングする事によって、より商談確率の高いリードを判別します。これにより、顧客のニーズに合わせ、One to Oneマーケティングの考え方を大量に実施する事ができるのです。また、シナリオ設計によりメール配信などの業務を自動化できるツールも存在し、見込顧客の育成から商談化につなげるプロセスを効率化できるのが特徴です。

SFAとは?

SFAは「Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)」の略で、営業活動を効率化するためのシステムを指し、MAツールで獲得・育成されたリード情報をもとに、商談化された状況を管理し、効果的に成約につなげることを目的としています。

SFAを利用していない場合は、営業担当が個別に顧客情報や案件情報を管理している状況で、他の営業担当との情報共有ができない事で非効率が発生するといった課題がありました。SFAツールを活用することによって、情報が共有できるようになり、営業担当の活動情報が見える化され、案件のスケジュール管理や工数管理、売り上げレポートの作成を迅速に実行できるようになります。また、共有情報を元に、営業部門内で提案のスキルアップや機会損失防止などの研修活動へも展開させれば、商談の成約率向上にも繋げることができるのです。

CRMとは?

CRMは「Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)」の略で、顧客管理システムと理解している人が多いと思いますが、単純にお取引先としてマスタ管理するだけのものでなく、お客様との良好な関係を構築する為に情報管理を行う事で、サービスの質を高め、お客様の満足度やロイヤルティーの向上に繋げる役割を持っています。
そのために、お客様へ発信した情報、商品・サービスの購入や利用状況、コミュニケーション情報を蓄積し、お客様の性別や年齢などの基本的な情報に、注文頻度や注文履歴などの情報を掛け合わせ、分類化することにより、分類別に最適なフォローを実施することが出来るのです。

新規に見込顧客創出や育成アプローチを自動化するツールがMAなのに対し、CRMは既存顧客との有効な関係を築くための維持/継続(リテンション)を実現するツールなのです。また、CRMの情報を元に新規の見込顧客創出や育成にフィードバックする事で、MAーSFAーCRMの一つの流れを作る事も可能になるので、CRMの範囲は、既存顧客のみならず、お客様が特定できている範囲において幅広く活用できると考えられます。

コロナ禍で進むセールス活動のDXとは

さて、マーケティング・セールスにおける代表的なツールのおさらいが出来たところで、コロナ禍で進むセールス活動のDXを考えてみたいと思います。

・オンライン化により非対面の商談
誰もが認める大きな変化は「訪問」によるコミュニケーションが減り、オンライン会議の利用により「非対面」にシフトした事です。これにより、営業活動も「非対面営業」が増えました。集客の手段もオンラインセミナー。これがきっかけとなり、リアルでは一度もお会いしていないお客様とオンラインで商談がはじまり、ヒアリングや質疑応答に対してオンラインミーティングとメールで回答を得て、オンライン会議でのご提案見積もりの場で採択が決まるという事例が増えたはずです。

・インサイドセールスの役割の変化
従来の新規獲得のインサイドセールスでは、オフィスにいながらテレアポなどを実施していましたが、電話をかける先のお客様がオフィスにいない事も多くアポイント獲得がほぼ不可能になり、マーケティング活動により獲得できたリードに依存することしかできなくなりました。こうしてインサイドセールスの役割は、獲得できたリードから、案件を抽出しアポイントを獲得することにかわってしまったのです。テレアポ&訪問がスタートだった流れがマーケティング活動依存に変わったということになります。

ここから、私の勝手な妄想が含まれますが、コロナ禍でB2B事業のセールス活動はこれまでの流れから非対面へ、「プッシュ型」から「プル型」に変化し、オンラインの会話からスタートしています。このパターンによく似た流れが思い浮かぶのですが、それは通販事業のコールセンターです。テレビや新聞、WEBなどの各メディアからリードを獲得し、お問い合わせに対してお客様の悩みを解決する事業モデルです。このモデルでのセールススタイルがB2Bでも当然の如く浸透していくのではないかと想像しています。
TVなどのメディアにYouTubeやInstagramのようなソーシャルメディアが加わり、B2Bの商談はインターネットという空間の中での、見込顧客創出〜育成をテーマに活動され、オンラインで商談化から成約まで完結するのではないでしょうか。おそらく、その時、必要になるDXとは次世代のコールセンターシステムとCRMシステムだと勝手に想像しています。お客様体験や個対応が重要視される近年において、セールス活動の最も重要なDXは、次世代CRMシステムなのかもしれません。

記事 : Yoshifumi Tsujimoto

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