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再春館システムベトナムのC.Tです。
前回、プログラミングにおける自動生成ツールの概要を説明させていただきました。
今回は、プログラムコードの生成AI(以下「コード生成AI」という)を実際に利用した経験をもとに、自動生成ツールの実用例、導入方法などを説明していきます。
前回記事:プログラミングにおける自動生成ツールの活用
コード自動生成AIの活用
コード生成AIとは、人工知能(AI)の一種で、人間の指示した内容をもとにソースコードを自動生成する技術のことです。
AIはアルゴリズムを使用することで、指定された要件やフォーマットに基づいたコードを生成します。
そのため、目的に応じて、単純なコードスニペットから、ソースコードの一部または全体を作成することが可能です。
コード生成AIは、さまざまな機能を駆使してソースコードの生成を行うことができます。
まず、自然言語処理(NLP)を理解し、開発者が記述した要件に基づき、コードを生成します。
さらに、既存のソースコードやフレームワーク、データベースなどを参照し、ソースコードを生成することもできます。
これらの機能に加えて、PythonやJavaScript、C#などの多様なプログラミング言語に対応しているため、さまざまな開発環境や要件に対応できる点も特徴です。
ここからは、実際に何度かコード生成AIに携わって感じたことをご紹介します。
コード生成AI活用の1番のメリットは、やはり生産性の向上にあると考えられます。
人が書く手作業だと何日もかかるようなソースコードでも、生成AIを利用することにより、大幅に時間を短縮することができます。
また、手作業で発生しがちな単純なミスをなくし、バグの発生を減らすことにもつながります。
さらに、多くの開発者が関わる規模のプロジェクトでは、ソースコードの一貫性を保つことができることも大きなメリットです。
特に、APIやデータベースに関わる部分など、同じようなソースコードが複数の開発者によって作成されるような場面では、統一性のあるソースコードであることが重要なポイントです。
それから、アジャイル開発のように、要件や設計が日々更新されていく場面でも生成AIは有効です。
手作業で更新を行うと時間がかかるだけでなく、更新漏れやデグレードなど発生しがちですが、生成AIを用いることで、より迅速かつ確実に更新をすることができます。
このように便利な点の多い生成AIですが、生成AIが作成したものを人間が何の手も加えずに利用できる場面はまだまだ少ないのが現状で、便利であることゆえのデメリットもあります。
まず、単純な例としては、入力内容が誤っていることによるミスの発生です。
生成AIは基本的に入力内容をそのままソースコードにするため、
入力が誤っている場合は、当然ながら誤ったままソースコードが生成されます。
本来なら入力する人間が気づくべきですが、単純なミスや、勘違いなども起こり得ます。
生成AIを活用することで人間によるミスを削減することはできますが、残念ながら完全になくすことはできません。
また、生成AIで作成したソースコードが完璧であることはほぼあり得ません。
特に、作成するソースコードの量が増えれば増えるほど、内容が複雑であればあるほど、精度はどうしても低下してしまいます。
そのような場合では、人間の手による修正が必要不可欠です。
さらに、開発に携わる人間のソースコードに対する理解が低下することも問題点の1つとして考えられます。
生成AIが関わる部分が多くなると、人の手による介入が少なくなります。
生産性や統一性が向上する一方で、障害などが発生した場合、ソースコードへの理解が低い分、原因究明に通常より時間がかかります。
生成AIに依存しすぎるのではなく、生成AIを利用する場面を見極めること、発生し得る問題をどのように解決していくかをあらかじめ検討しておくことが、生成AIをうまく活用していくことにつながっていくと考えられます。
導入方法
生成AIの導入方法は、プロジェクトや使用目的に応じて異なりますが、一般的に以下のような流れになります。
・ツール選定
まず、要件定義、開発環境、利用する言語などをもとに、コード自動生成、テストコードの生成、ドキュメント作成、UI/UX設計など、どの部分で生成AIを活用したいのか検討します。
これらの情報をもとに、対応言語や導入や学習にかかるコストなどを考慮した上で、最適なツールを選定します。
・ツールのインストールとセットアップ
次に、選んだAIツールをインストールし、開発環境に統合します。
多くの生成AIツールは、Visual Studio CodeやIntelliJなどのIDEと連携できるプラグインや拡張機能を提供しています。
ツールによっては、プロジェクトに対応したコード生成のためにカスタマイズが可能なため、必要に応じて、特定のフレームワークやライブラリに対応させるための設定を行います。
・導入と学習
ツールを効果的に使用するためには、利用方法や利用場面をチーム内で共有することが重要です。
ツールはあくまで開発をスムーズに進めるための補助的な役割であることを認識し、どのように活用していくかをあらかじめ検討し、共通認識を持つ必要があります。
・ツールの活用
準備が整ったら、実際に生成ツールを利用します。
・レビューと調整
生成されたコードは、開発者がレビューし、プロジェクトの要件に合っているか、最適な方法で生成されているかを確認します。不足部分や改善点があれば調整を行います。
また、セキュリティや品質を確保できているかを確認することも重要です。
一般的に、上記のような流れでツールを導入していきます。
また、ツールを活用していく中で、問題点が発生すれば、都度改善していくことも重要です。
まとめ
今回は、自動生成ツールの導入例と導入方法について説明させていただきました。
自動生成ツールも多様で、利用するツールや場面によって、様々な利点や問題点があります。
それぞれの開発現場に合わせ、適切なツールや利用範囲を検討していくことが重要です。
次回は、自動生成ツール導入における問題点や将来の展望などについて紹介していく予定です。
記事:C.T