2024年4月16日

DX(デジタルトランスフォーメーション)とデータドリブンについて

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データドリブンとはどういうものか

DX(デジタルトランスフォーメーション)とデータドリブンは、ビジネス戦略において密接に関連しています。
DXはデジタル技術を活用してビジネスモデルやプロセスを根本的に変革し、組織のパフォーマンスを向上させる取り組みを指します。
データドリブンは、意思決定やプロセスの最適化、戦略立案などにおいて、直感や経験だけでなく、収集したデータに基づいて行動するアプローチのことを指します。
データを分析して洞察を得ることで、より客観的かつ精密な意思決定が可能になるという利点があります。
このようにDXとデータドリブンは相互に補完し合い、以下のような関係性があります。

■DXを支えるデータドリブン
-意思決定の基盤-
DXにおいて重要な戦略的意思決定を行う際、データドリブンのアプローチは客観的なデータに基づく洞察を提供します。
これにより、リスクを軽減し、成功の可能性を高めることができます。

-顧客体験の最適化-
データを活用して顧客の行動やニーズを深く理解することで、DXの目的の一つである顧客体験の向上を実現します。
パーソナライズされたサービスや製品の提供が可能になります。

-プロセスの自動化と効率化-
データ分析を活用して業務プロセスを洗練させ、自動化の機会を見つけ出すことができます。
これはDXの核心的な部分であり、運用コストの削減や生産性の向上に直結します。

■データドリブンを加速するDX
-データアクセスと利用の向上-
DXによって構築されたデジタル基盤は、データの収集、保存、分析を容易にします。
クラウドストレージ、ビッグデータ技術、AI分析ツールなどが、データドリブンな意思決定を支えます。

-新たなデータソースの活用-
IoTデバイス、ソーシャルメディア、オンライントランザクションなど、DXを通じて取り入れられる新たな技術は、価値ある新しいデータソースを提供します。
これらのデータを分析することで、ビジネスに新たな洞察をもたらします。

-文化的変革-
DXは組織全体のデジタル化を推進することで、データを価値ある資源と捉え、データドリブンな意思決定を文化として根付かせる機会を提供します。

データドリブンを実現するためのリソース

データドリブンを実現するための組織は、データを中心とした意思決定プロセスを文化として確立し、組織全体でデータの価値を最大限に活用しようとする特徴を持っています。
データドリブンを実現するためには以下のようなリソース(役割)が一般的です。

-CDO(チーフ・デジタル/データ・オフィサー)-
役割:経営資源の配分について経営層と協議・対話し、デジタル戦略やデータ戦略のリードを行います。

-データスチュアード(データ管理責任者)-
役割:データ活用で重要となる「メタデータ」の作成・管理や、データを扱う「ルール作り」、「データガバナンス活動の実施」などを行います。
具体例:
■データガバナンスの構築
データガバナンスポリシーを策定し、データアクセス権の管理やデータのライフサイクル管理など、適切なデータ管理の枠組みを構築する。

■データ利用ガイドラインの策定
組織内でのデータ利用のガイドラインを策定し、利用者に対してデータの正しい活用方法や制約事項を伝える。これにより、データ利用における一貫性と合法を確保する。

■データ品質管理
データ品質を確保するために、データエントリの正確性、一貫性、重複の排除などの品質向上のプロセスを設計する。

-データストラテジスト-
役割:CDOが描いた構想をより具体化(データを活用してビジネスや組織の課題を対処するための戦略を決める)し、実行に移すことを行います。
具体例:
■データドリブンな意思決定
組織の意思決定をデータドリブンにするための戦略を策定。具体的なKPI(Key Performance Indicator)やデータメトリクスの設定を通じて、意思決定においてデータを中心に据える仕組みを構築する。

■データアーキテクチャの設計
組織内のデータアーキテクチャを構築。データの取り込み、統合、保存、分析、可視化のプロセスを含むデータフローを最適化し、効率的でスケーラブルなデータ環境を設計する。

■データガバナンスの確立:
組織全体にわたるデータガバナンスフレームワークを確立し、データの品質、セキュリティ、コンプライアンスの向上に取り組む。これにより、データの信頼性と機密性を確保する。

■ビジネスニーズとデータのマッチング:
ビジネスの戦略と目標を理解し、それに基づいて必要なデータ戦略を策定。例えば、新しい市場に進出する場合には、その市場に関するデータの収集や分析を実施する。

-プロジェクトマネジャー-
役割:データ活用の各プロジェクトにおいて、プロジェクト全体を捉えて問題・課題を発見し、その問題を解決するための戦略策定とプロジェクトマネジメントを行います。

-データアナリスト/データサイエンティスト-
役割:ビジネス課題の解決につながるようにデータを分析し、解決案の提案を行います。
具体例:
■顧客セグメンテーション
大量の顧客データを分析して様々なセグメントに分類することでターゲット市場を正確に理解し、個別の顧客に合わせたマーケティングアプローチを提案する。

■パーソナライゼーション
顧客の行動データや好みを分析し、オンライン・オフラインそれぞれ個別に適した製品やサービスを提供するための個別体験を提案する。

■予測分析
過去のデータを分析し、将来の傾向や出来事を予測することができます。たとえば、需要予測を通じて生産計画を最適化、在庫の最適化につなげる。

■プロセス最適化
データ分析を通じてビジネスプロセスを理解し、効率化や最適化のポイントを見つけることができます。これにより、生産性の向上やコストの削減などにつなげる。

■その他分析例
センサーデータや機器の動作データを分析し、異常な動きや故障を早期に検知することができます。これにより、予防保守や生産の停止を防ぐことにつなげる。

-データエンジニア-
役割:データを分析しやすい形に整える「整形」や「加工」、システムが滞りなく稼働するように運用・保守を行います。

-ソフトウェアエンジニア-
役割:ソフトウェアの設計や開発を行います。

-セキュリティエンジニア-
役割:外部からのサイバー攻撃やシステム障害による情報漏えいなどのリスクを未然に防止するため、セキュリティシステムの提案・設計・構築を行います。
具体例:
■脆弱性評価と管理:
システムやアプリケーションの脆弱性を評価し、それに対する対策や修正を提案する。

■クラウドセキュリティの確保:
クラウド環境でのセキュリティを確保し、データの機密性や可用性を保つための対策を講じる。

■セキュリティポリシーの策定と遵守
セキュリティ専門家は、組織のセキュリティポリシーを策定し、適切に遵守されているかを監視します。DXにおいては、新しいテクノロジーの導入に伴ってセキュリティポリシーを適切に拡張・更新する。

■セキュリティトレーニングと教育:
組織のセキュリティ意識を高め遵守するためのトレーニングや教育プログラムを設計・実施する。

■デバイスセキュリティ管理:
組織内のデバイス(モバイルデバイスやIoTデバイスなど)のセキュリティを管理し、適切な認証や暗号化を実施してデバイスの安全性を確保する。

まとめ

データドリブンは、意思決定やプロセスの最適化、戦略立案において、収集したデータに基づいて行動するアプローチを指します。
このアプローチでは、データを分析して洞察を得ることで、より客観的かつ精密な意思決定が可能となります。
一方、DXはデジタル技術を活用してビジネスモデルやプロセスを根本的に変革し、組織のパフォーマンスを向上させる取り組みです。

データドリブンとDXは相互に補完し合い、DXにおける意思決定の基盤、顧客体験の最適化、プロセスの自動化と効率化にデータドリブンが寄与し、逆にDXがデータアクセスの向上、新たなデータソースの活用、文化的変革を通じてデータドリブンを加速します。

記事 : T.P

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