2022年12月14日

オンプレミス環境のサーバをAWSに移行する方法について

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オンプレミス環境で稼働しているサーバをそのままAWSに移行して引き続き利用したいという企業様は多いのではないでしょうか?

その場合、AWSの仮想サーバのサービスであるEC2を利用して、新規にインスタンスを起動させてサーバを構築する場合はOSの初期設定や、ミドルウエアの導入・設定、アプリケーションやデータの移行などの作業が必要になるのですが、作業期間や費用が発生するので、出来れば現在利用しているサーバをイメージごとAWSに移行することができれば助かるのに…と考える場面があるかと思います。 
そういった場合はAWS Application Migration Service(AWS MGN)というサービスを利用することで移行することができます。

今回はAWS Application Migration Service(AWS MGN)についてご紹介いたします。
AWS MGNを利用することでサーバのOSごと移行することができるため、OSの設定やミドルウエアおよびアプリケーションに再導入や設定などの作業が不要となります。
クラウドへの移行の第一歩としての対応方法として活用できるのではないでしょうか。IPアドレスが変更になりますので、接続先の変更やDNSなどの設定変更は必要となります。

参考)
AWS Application Migration Service
https://aws.amazon.com/jp/application-migration-service/

クラウドへの移行方式について

クラウドの移行方式についてご説明します。

AWS社の移行戦略として以下の7つ(7R)が定義されています。
今回紹介する方式は、オンプレミス環境のサーバをそのままAWSに移行する方式のため、リホスト(Lift & Shift)に該当します。

・リロケート     
 VMware Cloud on AWSを用いて既存アーキテクチャをそのままAWSに移行

・リホスト(今回はこちらに該当します)      
 既存オンプレミスサーバをAWSへ単純に移行

・リプラットフォーム
 OS、ミドルのバージョンアップ、商用UNIXからAWSに移行

・リファクタ
 クラウド独自の技術やLambdaやマネージドサービスを取り入れた移行

・リパーチェス
 SaaS利用やパッケージを利用した構成で移行

・リテイン
 移行メリットがないため移行せずに稼働

・リタイア
 他システムなどと統合して廃止など


引用:マイグレーションを実現するために – 第2回:移行戦略と移行パスとは?
https://aws.amazon.com/jp/builders-flash/202011/migration-to-cloud-2/?awsf.filter-name=*all

AWS Application Migration Serviceについて

Application Migration Service(以降はMGNと記載)は、AWSが提供するAWS環境へ移行するためのサービスの一つです。物理サーバ、仮想サーバ、他社のクラウド環境で稼働するサーバなどをAWSへ移行することが可能です。

移行可能なOSの制限があります。公式ドキュメントに記載がございますので、以下にURLを記載いたします。

参考)
Application Migration Service Supported operating systems
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/mgn/latest/ug/Supported-Operating-Systems.html

MGNの費用はレプリケーションから最初の90日間は無料となります(※)。ほとんどの場合は無料期間内に移行が完了することが想定されるため、実質無料で利用できるサービスといえます。ただし、レプリケーション実行時に自動的に作成されるレプリケーションサーバやコンバージョンサーバのEC2やEBSなどの費用は発生します。

参考)
AWS Application Migration Service の料金
https://aws.amazon.com/jp/application-migration-service/pricing/

AWS Application Migration Serviceを用いた移行の流れ

MGNを利用したサーバ移行の流れを以下に簡単に記載致します。
MGNを利用するためには通信要件やMGNの初期設定を行う必要があります。詳細は公式ドキュメントの参照をお願い致します。

エージェントを移行対象のサーバにインストールした後は、自動的にレプリケーションが実行されます。レプリケーション後はマネジメントコンソールの画面に沿ってタスクを実行しているのみですので割と簡単に移行することができます。ただし、注意点もございますので別途記載いたします。

<サーバ移行の流れ>
1.エージェントを移行元サーバにインストール
2.レプリケーションを実行
3.テストの実行
4.カットオーバの実行

公式ドキュメント)
Application Migration Service
What Is AWS Application Migration Service?
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/mgn/latest/ug/what-is-application-migration-service.html

●注意点
筆者にて実際に動作検証した際に注意する点がございましたのでご紹介致します。参考にして頂ければ幸いです。

a.移行元サーバからレプリケーションサーバに対して1500/tcpポートで接続できること
b.デフォルトVPCを削除した場合は起動テンプレートでサブネットを指定する必要がある

a.については、検証で利用した社内ネットワークの構成で通信できない状態となっていました。その場合はレプリケーションする際にエラーが出力されずにInitiatingのステータス状態で進捗率0%のままずっと進まない状態になり原因が特定できませんでした。トラブルシューティングに記載がございます。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/mgn/latest/ug/Troubleshooting-Communication-Errors.html#Verifying-Communication-1500

b.については、レプリケーション完了後にテストインスタンス及びカットオーバインスタンスをローンチする際に注意する必要があります。ローンチする先のサブネットを指定しない場合はデフォルトVPCのサブネットにローンチされます。以下のリンク先に記載がございます。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/mgn/latest/ug/Troubleshooting-Launch-Errors.html#Troubleshooting-vpc-error

まとめ

今回はオンプレミス環境で運用されているサーバをそのままAWS移行するためのAWSサービスについてご紹介いたしました。
弊社ではオンプレミス環境からクラウドへの移行についても実績がございますので、お客様のご要望をヒアリングさせていただいたうえで最適な移行方法をご提案いたしますので、お気軽にご相談いただけましたら幸いです。

※MGNの費用についてはブログ掲載(2022年12月)時点のものになります。

記事 : S.H

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