2025年6月11日 Y.F

製造業のDXのメリットと課題

Contents

 

再春館システムのY.Fです。

前回は製造業でのDXについてとDXで実現できることについてお話させていただきました。
今回はDXを導入する前に知っておきたいメリットと課題についてお話させていただきます。
前回記事はこちら

 

製造業のDXのメリット

まずは、製造業のDX化のメリットについてお話させていただきます。
製造業でDX化を行うと、次のようなメリットが見込めます。

1)生産性の向上
2)教育・継承の簡略化
3)迅速な意思決定

上から順に説明していきます。

1)生産性の向上
今までアナログで行っていた作業をデジタルへ置き換えることで、作業ごとに必要な設備や作業員の状況をデータで管理することができ、実物のみの管理ではなくデータで管理されているので、誰もがリアルタイムで確認することができます。
設備の状況がリアルタイムで確認できるので、トラブルの前兆も確認が可能になり、あらかじめ対応を用意することができるようになります。
また、作業員の状況もデータで確認できるので、設備のデータと合わせることで、配置する作業員の数を適切な数に調整することができるようになり、設備異常などの障害を回避できるようになり、各作業を適切な人員で行えるようになることで、アナログ作業時からの生産性の向上が可能になります。

2)教育・継承の簡略化
作業員の配置換えや新規雇用のときなどは、新しく入った人への教育が行われるかと思います。
アナログで作業を行っている場合、担当する作業が複雑であればあるほど教育者の負担も増えるでしょう。
また、教育者の経験によって教育内容が変わってしまうこともあるかもしれず、そうなってしまうと、出来上がる製品の質にも影響が出かねません。
一方、デジタル化されていると、複雑な作業でもある程度の作業を機械が行っているため、人間が行うべき作業量はアナログに比べて格段に減り、教育者の負担も確実に減ります。
また、作業を機械が担うことで作業員の経験に依存する部分が減り、結果として教育者の経験に関わらず、出来上がる製品の質を一定に保つことができるようになります。

3)迅速な意思決定
アナログ作業の場合、作業で必要な資材類の管理は実在庫でのみになっている場合があるのではないでしょうか。
倉庫に保管されている資材の量を見て生産数を決めたり発注をしたりなどの運用は、直接保管場所を確認する手間が必要でとても大変で時間がかかります。
デジタル化することで、こういったモノもデータで管理することができるようになります。
データで管理されていれば在庫の確認にかかる手間が大幅に削減でき、生産数の決定や資材の発注など次のアクションを迅速に行うことが可能になります。
また、在庫以外にも工場内の様々な情報がデータで確認できるため、顧客のニーズへの柔軟な対応や新たな事業への挑戦など会社の成長にも寄与することができます。

 

製造業のDXの課題

ここまではDX導入時のメリットについてお話しました。
ただ、DXの導入はメリットばかりではありません。次のような課題が想定されます。

1)必要経費が高額
2)導入時の教育が大変
3)効果が出るまで時間がかかる

上から順に説明していきます。

1)必要経費が高額
DX化では施設内の全ての設備や作業をその対象とします。
今までアナログで行っていた作業をデジタルへ置き換える必要があるので、場合によっては工場内のほとんどの機械類が変更になるかもしれません。
また、デジタル化されたデータは基本的にインターネットを経由してやり取りを行いますが、対象の施設にネット環境が無い場合は、それも導入する必要があります。
DX化が完了した後も導入したシステムを安定して使用するためには定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンスには専門の人材を採用・育成、専門の企業へ依頼など、いくつか方法が考えられますが、いずれの方法でもある程度の金額が発生してしまいます。
このようにDX化の規模にもよりますが高額な費用が発生する可能性があります。

2)導入時の教育が大変
先述の通り、DX化には高額な費用が掛かる場合がありますが、すべての企業が実行に移すわけではありません。
その場合は今ある施設や一部作業からなど、対象を絞ってDX化を行うことになります。
そうなると、アナログ作業とデジタル作業が混在した環境で作業を行う必要があり、デジタル化によって作業は減りますが、アナログとデジタルの間をつなぐ作業が新たに発生する場合があります。
また、デジタル化されることでアナログ時に行っていた作業とは全く異なる作業が必要になる場合もあります。
そうでなくても、アナログの作業に慣れた作業員にとってはデジタルの作業を覚えること自体に抵抗があるかもしれません。
そういった新しい作業を覚えることの必要性は、現場の作業員に負担が増えることにつながる可能性があります。

3)効果が出るまで時間がかかる
DX化でアナログではできなかったことが可能になりますが、導入後すぐに効果が出るとは限りません。
効果を出すには使用者が仕様に慣れる必要があり、各設備の状況や作業員の状況を正確に把握するためには、記録するタイミングや記録内容が正確である必要があります。
また、蓄積されたデータを新しいアクションの材料として使用したい場合も、参照するデータに適切なモノが選べないと、導入時の理想とはかけ離れたDX化になってしまいます。
実際に作業を行う作業員の方がデジタルな作業に慣れるまでは、DX化のポジティブな効果を観測することは難しく、短期的な目線でDX化を評価してしまうと失敗したように見えてしまいます。

 

製造業のDXのポイント

ここまでお話した通り、DX化にはメリットと課題があります。
DX化を成功させるためにも、次に挙げるポイントを意識してみるといいのではないでしょうか。

1)明確な目標設定をすること
2)全社員で取り組むこと
3)定期的に評価すること

上から順に説明していきます。

1)明確な目標設定をすること
DX化の前に、導入した結果どうありたいかを具体的に設定するといいでしょう。
具体的な目標を設定することで、DX化するべきポイントが見えてきます。
また、具体的な目標を設定するためには、現在の課題を把握することも大切です。
現在の課題とDX化の目標を全社員で共有することで、DX化に向けた雰囲気が作られ、よりDX化が受け入れられやすくなると考えられます。

2)全社員で取り組むこと
DXの導入作業中は、部門間で情報共有することが頻繁に発生します。
担当者が個人で行う場合、部門間の調整だけで多くの時間が費やされてしまいます。
そんな時に経営層からのサポートがあれば作業がスムーズに進みますし、経営層が率先して動くことでDX化に必要な予算や人員の確保もより簡単になります。
また、DX導入の計画段階など早い段階から現場の作業員を巻き込むことで、現場の意見がより濃く反映されたDXになります。
計画から携わることで導入時の教育もある程度楽になります。
自分の担当したDXで作業の効率化が達成されれば、その成功体験が現場で共有されより一層DX化に対してポジティブな雰囲気が作られることが考えられます。

3)定期的に評価すること
製造現場では毎日状況が変化し続けています。
このような現場にDX化後も対応するためには、利用状況の確認や目標への達成度合いの確認、投資対効果の確認などから評価を行うのがいいでしょう。
定期的な評価を行うことで目標とのズレを早期に発見し、早い段階で軌道修正を行うことができます。
また、評価の段階で現場からの要望も確認することで、よりよいDX化を達成できます。
AIの進歩は目覚ましいもので、余裕があれば最新の技術やDX情報にも目を向けることで、DX化に役立つモノがあるかもしれません。
また、他企業でのDX化の実績も把握しておけると、自社に役立つ可能性があります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
製造業DXでのメリットと課題について少しでも参考になる箇所があれば幸いです。
また、前述した通りDX化にはいくつか課題発生が想定されますが、弊社にはDX化の実績があり、それに基づいた課題解決へのお手伝いをさせていただければと思いますので、ぜひご相談ください。

記事:Y.F

Y.F
Y.F

たまに海が見たくて、夜の青海ふ頭に行きます。
昼間はお家でゆっくり過ごすことが多いです。趣味は読書と小旅行。

この執筆者の他の記事を見る→

たまに海が見たくて、夜の青海ふ頭に行きます。
昼間はお家でゆっくり過ごすことが多いです。趣味は読書と小旅行。