2025年4月2日 C.T

自動生成ツールの問題点や将来の展望

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再春館システムベトナムのC.Tです。

前回までのブログに記載したように、近年、人工知能(AI)や機械学習を活用した自動生成ツールが急速に発展し、開発の分野でも、プログラムコードやドキュメントなどを短時間で生成することが可能となってきました。
これにより、生産性向上が期待される一方で、いくつかの課題も浮かび上がってきています。
今回は、自動生成ツールの問題点と将来の展望について詳しく述べていきたいと思います。

前回までの記事はこちら
 

自動生成ツールの問題点

前回までにも既にいくつかの問題点を挙げてきましたが、今回はより詳細に問題点に着目していきます。
問題点としては、主に以下の3点が挙げられます。

1.専門的な分野での活用の難しさ
自動生成ツールを利用することで、人為的なミスが減少し、品質が安定していくという利点があります。
特に反復処理や単純処理などは、自動生成ツールによって一定の品質を保つことができます。
しかし、高度で複雑な内容においては自動生成ツールの利用は不向きです。
基本的に自動生成ツールは、過去のデータをもとにコンテンツを作成します。
そのため、特別な考慮が必要となる複雑な内容や、特定の業界やプロジェクト固有の表現などは、ツールが生成する内容が必ずしも期待通りにはならないことがあります。
例えば、ツールが情報を組み合わせて出力する際に文脈やニュアンスを完全に理解することが難しく、不自然な構成や誤った表現が生まれることがあります。

2.内容の精査
自動生成ツールでの内容は完璧ではなく、時には誤った内容が作成されることもあります。
上で挙げたような、複雑で高度な内容、固有の表現などは特に顕著です。
ツールで作成された内容をうのみにして十分な確認を怠ることは、エラーやバグを含むソースコードや、誤った内容が含まれるドキュメントの発生につながります。
自動生成ツールによって生成されたコードやドキュメントに対して、開発者がレビューを行い、評価することが重要です。
ツールは提案を提供する一方で、そのコードがプロジェクトの要件に最適であるかどうか、パフォーマンスが最適化されているか、セキュリティの観点から問題がないかを正しく判断することはできません。
そのため、開発者はツールが生成した結果をうのみにするのではなく、その妥当性を十分に確認し、必要に応じて修正することが重要です。

3.自動生成ツールへの依存による能力低下
自動生成ツールによるコード補完やコード最適化、コード生成は、開発速度を加速させるとともに、人為的ミスの削減や品質の向上に貢献します。
しかし、開発者が自動生成ツールを多用し依存することで、開発者としてのスキル、思考力や創造力の低下などが懸念されます。
例えば、ツールが提案するコードなどに頼りすぎると、開発者は自分自身でコードを作成することや、問題を解決しようとする能力が低下してしまう可能性があります。
特にまだスキルや経験が少ない開発者にとっては、ツールによって能力に関係なく開発を効率化できる一方で、スキルや経験の向上がしづらいことは、ツールを多用することによる課題です。

 

これからの展望

次に、自動生成ツールの今後についてです。
今後、自動生成ツールはどのように展開し、利用されていくのでしょうか。
また、上で挙げたような課題に対して、どのように向き合っていくことになるのでしょうか。

1.品質向上とカスタマイズ性
今後の自動生成ツールは、より高度なアルゴリズムや学習技術を採用することにより、生成精度が更に向上していくと予想されます。
例えば、ツールが文脈をより深く理解することで、ユーザーの求める結果をより高品質で生成することができます。
また、今よりも更にユーザーのニーズにより細かく対応できるようになることが期待されます。
業界やプロジェクトごとの独自の内容を活用して、特定の目的に特化したコンテンツを生成できるようになることで、より細かなニーズに最適化された結果が提供されるようになります。
例えば、特定の業界用語や専門知識を反映させるカスタマイズが可能となれば、開発者はクライアントや業界特有の内容に対応できるようになります。

2.誤情報のリスクの低減
自動生成ツールを活用する上で、誤った内容や、セキュリティに問題のある内容が含まれる可能性があります。
今後は、公式ドキュメントや信頼できるオープンソースプロジェクトと照合し、適切な内容が選ばれる仕組みが強化されると期待されます。
さらに、ユーザーがコードの妥当性をチェックできる機能が組み込まれることで、開発者自身の確認作業を最小限に抑えつつ、正確性を担保できます。
これにより、ツールを使った開発の安全性が高まり、より広く活用されることが期待されます。

3.より広い範囲での活用
今後、自動生成ツールはソースの生成や補完といった製造に関わる部分だけでなく、設計や要件定義での活用など、単にコードを出力するだけでなく、開発プロセス全体へのサポートが期待できます。
例えば、テストコードの自動生成機能が向上すれば、手動でのテスト作成の負担が減り、工数の削減につながります。
また、APIドキュメントや仕様書の自動生成の精度が今より上がれば、ドキュメント作成の時間を削減し、他のより複雑な作業に集中することができます。
他にも、自動生成ツールがより進化することにより、より創造的な分野での活用も広がっていることが期待されます。
例えば、設計パターンの提案や最適なアーキテクチャの提示、エラーの修正案の提示など、開発プロセス全体において補助的な役割を果たすことで、作業の効率化と品質向上の両立が可能になります。

 

まとめ

自動生成ツールは、開発の効率化と品質向上など開発の様々な場面で重要な役割となってきています。
今後、より高精度な生成、誤情報のリスク低減が実現され、多様な分野への応用が進むことで、開発者はより少ない手間で高品質なものを作成できるようになっていくと考えられます。
再春館システムとしても、今後のAI市場の動向を注視しつつ、ソフトウェア開発会社としてメリットとデメリット踏まえた上での適切な活用を行うことで、より高品質な製品をお客様に提供できる会社を目指したいと考えています。

記事:C.T

C.T
C.T

私は岐阜出身で、現在はベトナムのハノイでブリッジSEとして働いています。
日本とベトナムの仕事を繋ぐ役割を担い、日々のプロジェクトを円滑に進めるために尽力しています。
趣味は旅行で、長い休みには海外旅行に行ったり、日本に帰省する時は温泉巡りを楽しんでいます。

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私は岐阜出身で、現在はベトナムのハノイでブリッジSEとして働いています。
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