2023年8月31日

Shopifyはあなたに最適なのか? 開発者の目線で考えてみる

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弊社ベトナムオフショア拠点でもShopify関連の案件に参画することが増えてきました。
Shopifyとは、オンラインショップ構築(ECサイト構築)のクラウドサービスなのですが、本記事が最近オンライン店舗を構えることになった方々や、あるいは自社ECサイトを運営し、見直しを検討中の方々の業務に対して、Shopifyがフィットするのかしないのか?の判断材料としてお役に立てれば幸いです。

自社運営のECサイトとクラウド型ECサービスの比較

はじめに、インターネット上で店を開きたいなぁと思った時にどのような形態があるのかと言いますと、主に以下のようなものがあります。

■オンラインショップ
(A)ECモール
(B)オンプレミス
(C)クラウドサービス

このように、選択肢はざっくり3つあります。

まず、多数の店がひしめくモールに出店するのか、独立した自前の店を構えるのかを選択します。
(A)のECモールというのは、楽天市場、Amazon(マーケットプレイス)、Yahoo!ショッピング などが代表格の、あらゆるジャンルの店が集まっている場所のことです。「ネットで買う」となったらこのようなモールで商品を検索する人が大半ではないでしょうか。

「いや、モールではなく自前の店だ! 自社で独自の販売サイトを作るんだ! 」という道を選んだ場合には、更なる選択肢が待っています。(B)のオンプレミス、つまりサーバを自社で調達し、自社のWEB環境にネットショップを構築する方法です。この場合、ユーザー登録〜商品情報、注文や在庫情報など、すべての機能をゼロからプログラミングする形になるので、かなりの時間とコストを必要とします。
もうひとつは、 (C)のクラウドサービスを利用してWeb上の管理画面からポチポチ設定をし、商品の登録や、紹介文の入力など、クラウド上にすでに出来上がったECシステムに登録する方法です。この(C)のクラウドサービスを選択した先には、ではどのサービスを使うか? という比較検討の旅に出る必要が出てきます。

もちろん他にも販売方法として、TikTokでインフルエンサーが軽快に踊りながら商品を紹介したり、Facebookで「こんなの作ってみました!」と呼びかけたり、SNSを活用するパターンもありますね。もっとニッチな売り方もあるのかもしれませんが……。(ちなみにベトナムではFacebookでの売買が盛んです。バイクも手作りクッキーもFacebook上で売っています。)
しかしここでは、それらの手法ではなくある程度システマチックに受注販売できる形態に絞って話を進めます。

さて、ざっくり分かれたこの3つの選択肢、それぞれのメリット・デメリットは以下のような感じでしょうか。

(A) ECモール(楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピング、など)
・商品、店舗を検索されやすいので知ってもらえる機会は多いが、競合他店舗も集まっているため価格競争に巻き込まれる。
・誰でも簡単に店を始められるが、モール側にそれなりの手数料を取られる。

(B) オンプレミス
・何にも縛られることなく自社にフィットした販売システムを構築できる。画面デザインも自由、購入までの流れも自由に誘導できる。しかしシステムの開発費と時間がかかり、メンテナンスコストも高額になる傾向がある。
・顧客データの全てを保有できるが、セキュリティ面に常に神経を尖らせないといけない。

(C) クラウドサービス(Shopify、ecforce、など)
・あらかじめ用意されたものをカスタマイズできるので、ゼロからの構築と比較し作業が非常に効率的。
・ある程度の制限があるなかで運用を詰め、カスタマイズについては、Webデザインやプログラミングの知識が必須である。
・ECモールとオンプレミスの中間的な位置付けなので、(A)と(B)のメリット・デメリットをバランス良く含んでいる。

私の経験上、(B)オンプレミスから(C)クラウドサービスに移行する事例にも携わってきたのですが、移行の理由としては以下のようなご意見をよく聞きます。

• サーバの維持費を削減できる
• セキュリティ面での対策コストを削減できる
• ソースコードというものが無くなる(少なくなる)ので、メンテナンスの属人性が解消され、熟練者でなくてもメンテナンス/カスタマイズが容易になる
• 割引キャンペーン適用などのサイト更新がスピーディーになる

 

Shopifyでできること、できないこと

いくつかあるクラウド型ECサービスの中でも、個人的にShopifyをおすすめするポイントは
1. 対応している言語・通貨・決済サービスが多い
2. 初期費用ゼロ、ランニングコストも低額
3. アプリやAPIが豊富なのでカスタマイズ・機能拡張性が高く、基幹システムとも連携しやすい

といったところですが、1.は日本から海外に向けて販売するには重要な点です。越境ECとなるとShopifyは強いです。
そして 3. もなかなかに大切なポイントです。
オンプレミスからの移行を検討中、というケースですと現行では、基幹システムがガッチリと受注から発送、顧客管理まで担ってくれている…という状態が多いと思われます。(※基幹システムとは? → 過去の記事をご参照下さい。 <オフショア開発による 基幹システム(Blazor)について>)
「受注」というお客様との窓口はShopify側に任せるとして、その後の工程は既存の基幹システムのフローに載せたい。しかしShopifyから基幹システムへキレイに連携できるのだろうか? …と、案じてしまいますよね。

そこで、何ができて何ができないのか、書き出してみます。
(※ あくまで自社基幹システムとの連携、という観点です。Shopifyの全機能には言及しませんのでご了承下さい。)

【できること】
• 注文データをAPIで取得
取得したデータはCSVファイルに書き出したり、基幹システムのデータベースに保存したりします。まずはこれができないと先に進めません。もちろん注文データだけではなく顧客データも取得できます。REST API とGraphQL APIが用意されています。
• タグやメタフィールドで独自項目を追加
基幹システムに連携し終わった注文には「連携済み」のタグを付ける、基幹システム側の顧客番号をShopify側にも持たせる、などなど、自社で必須なのにShopifyには無い項目も後から追加できます。

• 管理画面で注文内容の変更(商品の追加・削除、返金操作)
お客様から「この商品をもう一つ欲しい」など連絡があった場合、店舗管理者が画面上で注文内容を編集できます。また、返品に伴う返金も画面上で簡潔に操作できます。

• 上記の操作などで何かしら変更があった注文データを取得
今日入った新規の注文だけでなく、注文品の増減があった注文、返金処理が完了した注文なども検出してデータを取得できます。

【できないこと】
• 注文内容変更の差分を取得
管理画面から注文内容の変更は楽にできるのですが、注文品の増減が時系列で分かるような履歴データは取得できないようなので(管理画面のタイムラインには表示されるのですが……)、各データ項目から導き出す工夫が必要です。

• 返品による割引適用の無効化
例えば、合計¥10,000以上のお買い上げでキャンペーン商品を無料贈呈!の場合、返品により合計額が¥8,000になってもキャンペーン商品は無料で付帯したままに。どうやらそこまでの自動処理は実施はされないようです。

• 複式簿記の経理(会計)データの取得
じゃあ単式簿記なら取得できるというわけでもないのですが、Shopifyは弥生会計やfreeeといった会計ソフトではありませんので、会計データの取得はできません。当然と言えば当然ですね。弊社が担当した案件では調査・検討を重ね、各データ項目から算出し会計データを生成する仕組みを開発しました。

Shopifyをご検討中の皆さまへ

自社ECサイトからの移行に不安がある、または他サービスから乗り換えを検討しているがShopifyではあれができないのでは、これができないのでは……?とお悩み中の企業様・店舗様もいらっしゃると思います。
弊社が担当したShopify移行の案件では日本とベトナムで開発作業を分担し、ベトナム側ではShopify APIの項目を根気よく調査し、次にコーディング、そして結合テストでは画面操作に伴うデータの変化を検証しました。今後、Shopify関連のオフショア開発案件でそのノウハウを余すことなく活かし、日本とベトナムの両側からお力添え致しますので安心してShopifyへの移行をご依頼下さい!

次回は、Shopifyと基幹システムの連携に欠かせないAPIについてお話しさせていただきます、またお会いしましょう! Xin cảm ơn!!

記事: A.K

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