目次
Contents
- 01 恐ろしい認知バイアス
- 02 客観的な判断の精度
- 03 客観的な判断の限界
- 04 主観的な判断をするための視点
- 05 自信は主観的な判断の最大の産物
- 06 得意分野+情報収集+主観(自信)=答えをつくる
前回は、問題解決にどう向き合うかを書かせていただきました。
答えを作るためには、深い知識とリアルな体験を組み合わせて、得意分野にしていく内容でした。
さて、ここで落とし穴があります。
それは、客観的になりすぎる事です。
さて、主観的・客観的って、こんなイメージをもっていませんか?
【主観的】自分だけが納得できる
【客観的】誰もが納得できる
私も客観的な判断で物事を判断することが正解だと思っていました。
今は、問題が複雑化すればするほど、客観的な判断では問題解決は難しいと感じています。
重要なのは、正確な主観的判断だと痛感しています。
きょうは、主観的な物の見方について、少し書かせていただければと思います。
01 恐ろしい認知バイアス
認知バイアスという言葉をご存じでしょうか?
簡単に説明すると、
自分の思い込みや、置かれている環境の影響で、論理的整合性のない判断をすることです。
以前、防災心理学に興味を持ったときに学んだ内容です。
災害の内容にはなりますが、下記がわかりやすいと思います。
信州大学地域防災減災センター/菊地聡
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jls/55/6/55_286/_pdf
仕事に置き換えると、皆さんにも覚えがある現象になります。
それは、見たくないものは見ないです。
この、見たくないものは見ない現象が、様々な弊害をもたらします。
例えば…
・集めた情報が偏っている
・同じ意見の人だけに相談する
・置かれた環境の常識を疑わない など
自分に都合の悪いモノは、無意識に聞かないようにしている事があると思います。
その弊害をもたらす最たるものが、主観的な判断です。
認知バイアスを排除するのは、なかなか難易度が高いです。
都合の悪い事実を直視しないといけないので、どうしても、認知バイアスに捕らわれてしまいます。
だからこそ、公の情報や、精度の高いデータを元にした客観的な判断が好まれますが、ここに大きな落とし穴が潜んでいます。
主観的な判断以上に危ういです!
02 客観的な判断の精度
客観的な判断をするためには、客観的にものごとを見る視点が必要です。
それは、情報をいかに正確に理解するかにかかっています。
そこで出てくるのが、情報バイアスです。
情報バイアスという言葉は、統計学、免疫学、心理学など、色々な学問に出てきます。
私のイメージとしては、質問の内容・質問方法・質問者によって、回答に隔たりがでることです。
例えば…私は甘い物が好きなので、『チョコレート効果 カカオ86%』を毎日3〜5枚位食べています。
そんな私に、こんな質問がきたらどうでしょう。
質問1:チョコレートは健康にとても良いです。あなたは1日でどの位食べていますか?
質問2:チョコレートは肥満原因の上位です。あなたは1日でどの位食べていますか?
質問は同じ、『どの位食べているか?』ですが、回答が変わる可能性がありますよね。
私ならこう答えます。
質問1:5枚
質問2:3枚
質問者が、医師だったら答えが変わるかもしれません。
こちらの情報バイアスの説明は、簡素で分かりやすいです。
他のバイアスも書かれているので、参考になります。
データへのバイアスと偏見(AKARI)
https://akari-media.com/2020/07/02/member-816/
接している情報は、何らかのバイアスが影響している可能性が高いのです。
では、客観的な判断の疑惑を晴らすにはどうしたらよいのか。
それは情報のパターンを数多く集めることなのですが…
03 客観的な判断の限界
仕事柄、情報を集める事が多く、1つの事情に相当量の情報を集めることもあります。
オウケイウェイヴ総研さんの調べでは、毎日 1.6 時間も調べものに時間を費やしているそうです。
【社内業務に関する調査】 ビジネスマンが「調べもの」に費やす時間は毎日 1.6 時間
オウケイウェイヴ総研
https://www.okwave.co.jp/wp-content/uploads/2019/04/20190403PressRelease.pdf
一生懸命集めた情報ですが、全ての情報バイアスを払拭できるのでしょうか?
ご想像の通り、それは不可能です。
そして、ネット上で手に入れられるデータには、必ず誰かの主観的な視点が含まれています。
ビックデータや、データサイエンティストという言葉が踊ったときに、学んだ時期がありました。
データは仮説を持って解析し、その仮説が立証でき、初めて活用ができます。
まさに仮説は、主観的な視点です。
この仮説は、国、地域、組織、人でも変わってきます。
仮説とはちょっと違いますが、新型コロナウイルス患者の重症者数の基準の違いなどは良い例かもしれません。
東京都が重症者報告基準を変更 ICU入室患者も含める(東京新聞:2020年8月19日)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/49904
これは、同じ目的のデータを出しているのに、基準が違うのです。
基準を仮説に置き換えると分かりやすいですね。
集めたデータは、同じ仮説で求められている事は皆無でしょう。
同じ目的で集めた、異なった仮説のデータをどう扱うか。
それは、主観的な判断です。
04 主観的な判断をするための視点
主観的な判断をするために必要なのは、観察方法すなわち、主観的な視点です。
自分なりに物事を理解することが重要だと思います。
そして、主観的な視点を持つには、前回ブログでも書きました、得意分野化にすることです。
得意分野化は、考えることができるようになる基本知識を持つことです。
では、なぜ基本知識が必要なのか。
それは、頭の中でシミュレーションができる最低条件だからです。
知識がなくても、インターネットで手軽に情報は得られます。
付け焼き刃ではあるものの、コミュニケーションも取ることはできるでしょう。
ただ、情報や技術を掛け合わせた、脳内シミュレーションができないのです。
ゼロからつくるビジネスモデル 井上 達彦 (著)
https://str.toyokeizai.net/books/9784492534175/
上記の本は、ビジネスが情報や技術の掛け合わせでできているかが、体系的に書かれています。
脳内シミュレーションができるようになれば、どんな情報がきても、自分の理解に昇華できます。
理解だけではなく、より正確な判断に繋げられ、新たなアイデアを生み出す事も可能です。
そして最後に、最も重要なことは、自分の判断に自信を持つことができることです。
05 自信は主観的な判断の最大の産物
転職したての当時、音響のモノづくり知識はお世辞にも豊富とは言えない状態でした。
ただ、インプットだけはしてあるので、話しにはついていける状態です。
この時は、まさに客観的な視点で、日々を戦っていました。
変わるきっかけは、引き継ぎ期間の3ヶ月です。
この3ヶ月間に、集中的に知識とリアルな体験をすることができたのです。
これは、理解ある上司と同僚のお陰ではありますが、集中的に多くを学ぶ期間をとることで、得意分野化することができました。
ただ、この間に学んだことの、70%は活かせていないです…
しかし、この学んだ事実と、モノづくりに関しての学び方の習得は、大きな自信に繋がります。
06 得意分野+情報収集+主観(自信)=答えをつくる
乱筆乱文となってしまいましたが、いかがだったでしょうか?
答えをつくる為の道筋は、下記の通りです。
・得意分野化 =深い知識+経験
・情報収集 =行動力+リアリティ
・主観(自信) =客観的な視点~主観的な視点
では、答えをつくるとは何か?
それは、自分で進むべき方向を決める事です。
ビジネスの環境が驚異的なスピードで変化していく中で、自分で決めていくことが重要になります。
そして、常に最適な答えを求められます。
その答えをつくるまでの経路が、少しでも伝われば嬉しい限りです。
次回は本題に戻り、半導体不足に対する模索について、書いていきます。
記事 : R.S