2022年7月20日

未曾有の半導体不足をどう理解したか ーものづくりプロジェクトのアプローチを考えてみたー

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2020年の後半から、半導体不足が世界的に続いています。

産業界への影響も甚大で、ニュースでも大きく取り上げられた自動車業界はわかりやすいと思います。
各自動車メーカーが、減産に追い込まれたのは、皆さんもご存知のところでしょう。
実際に、納期が1年を超える新車もあったほどです。

より身近なスマートフォンの製造にも影響を及ぼすなど、業種・業態に関わらず、生産計画通りに製造を行えない状況が世界中で起きています。

当然ながら、「mimiyoriプロジェクト」にも大きな影響を与え、数度にわたり生産延期を行いました。
今でも、難しい調整を日々行っています。

モノづくりのプロフェッショナルではないメンバーが、この問題をビジネス課題と受け止め、どのように乗り越えてきたのかを複数回に分けてお伝えします。

半導体ってそもそもなに?

mimiyoriプロジェクト」は、多様なバックボーンを持ったメンバーで構成されています。
中心メンバーは、企画、マーケティング、販売に長けたメンバーです。
実際の『モノづくり』はパートナーに依存する面が大きく、知識が圧倒的に足りませんでした。

このブログを読んでくれている方も、そのような方が多いと思います。
なので、そもそも半導体って何? から進めようと思います。

半導体とは、金属のように電気を通す「導体」と、ゴムのように電気を通さない「絶縁体」の中間の性質を持つ物質です。
シリコンが代表的な物質で、イメージしやすいと思います。

分かりやすい特性として…
不純物が少ない半導体は、電気を通さない
特定物質を含ませると、電気が通りやすい

低温の場合は、電気を通さない
高温の場合は、電気が通りやすい

このような特長を活用して、電気の制御を行っています。

半導体は多くの製品に利用されています。
エアコンや冷蔵庫、電子レンジ、炊飯ジャー、液晶テレビといった一般家電製品。
ハイブリッドカー、燃料電池、太陽電池などの環境製品にも幅広く使われています。

更に、センサー類、スコープ類、ディスプレイ、医療用カテーテルなどにも応用されており、生活に欠かせない素材です。

半導体不足ってそもそもなに?

正直これは、わかりません…。
というのも、多くの要因と複雑なサプライチェーンが絡んでおり、私たちレベルでは断定は難しいです。
ただ、事業を続ける上で仮定は必要ですので、大きく3つのポイントで理解しています。
今回は、簡単に触れたいと思います。

1.旺盛な半導体需要
実は、コロナ前より半導体の需要は、供給を超えていました。

複数資料を見ないと判断が難しいですが、『世界半導体市場統計(WSTS)』が最も分かりやすいと思います。

また、下記のレポートもオススメです。
・ジェトロ
デジタル関連財:コロナ禍で貿易はプラス、半導体不足が顕著
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2021/0902/cf02a7e6390392d9.html

出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)「デジタル関連財:コロナ禍で貿易はプラス、半導体不足が顕著」

近年で言えば、第5世代移動通信システム(5G)の普及あたりから大きく伸び始めたのではないでしょうか。

市場拡大は継続しており、今後も拡大の一途と予想がでています。
WSTS発表だと、2022年は過去最高の水準まで市場規模が拡大する見通しです。

2.中国の規制
半導体の主戦場は、東アジアに集中にしており、とりわけ中国が中心となっています。

(参考)ジェトロ 地域・分析レポート
https://www.jetro.go.jp/ext_images/biz/special/2021/0902/cf02a7e6390392d9/shiryo.pdf

出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)「地域・分析レポート」

まずは、輸出管理規制の強化の影響です。
代表的なのは、アメリカのエンティティー・リスト(Entity List、EL)でしょう。

そこに加え、ニュースでも多く報じられたように、中国はゼロコロナ対策として、工場操業停止をしています。

半導体を作るための技術・部材・製造機械の入手が輸出管理規制で滞り、コロナで製造が止まる。
そこに、旺盛な半導体需要が重なり、2020年後半から顕著な半導体不足に陥ったと理解しました。

3.増産が難しい
2020年後半から顕著な半導体不足に対し、各国・各メーカーが生産能力強化のための投資を打ち出しています。

2021年発表で、代表的なところだと
サムスン:韓国で、1,500億ドル
インテル:アメリカで、200億ドル
アップル:ドイツで、10億ドル

他にもまだまだありますが、多くが数年後の稼働を想定しており、今の需要をすぐさま改善できるものではなさそうです。

また、世界の半導体分野のM&Aを見ても、2021年以降の大幅な投資増加はない状況。
※トムソン・ワン(Refinitiv)公表データ

半導体の需要は、長期で見ると振れ幅が大きく、短期的には新型コロナの再燃影響で経済が不安定であることから、新規投資がしづらい状況だと理解しています。

増産したくても新規工場稼働まで数年かかり、需要が不安定であることから新規投資もしづらい。
結果として、急激な需要には対応できないという状況が、継続していきそうです。

ではどうするのか?

『こんな状況だから仕方ないよね』では、プロジェクトを進める事はできません。
同じ状況でありながら、乗り切っている企業も少なくありません。

そんな私たちも紆余曲折あって、何とか生産計画までこぎ着けました。

次回はその紆余曲折をご紹介させていただきます。

記事 : R.S

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