2022年11月25日

『ビジネスプラン=戦術』を理解すること -ものづくりプロジェクトのアプローチを考えてみた-

目次

Contents

前回書かせていただきました通り、半導体不足を起因とした生産遅延が発生し、ビジネスモデルとビジネスプランを大幅に変更しました。

大幅に変更する上で、下記の通りビジネスモデルとビジネスプランを定義し、再構築していきました。

ビジネスモデル:ビジネスの根幹になる、提供価値の創造と、顧客への価値提供
ビジネスプラン:プロジェクトを実行するためのマニュアル

今回は、ビジネスプランに焦点を当てて、ご紹介できればと思います。

1.ビジネスモデル・ビジネスプランと、戦略・戦術の関係

さて、仕事の中で『戦略』と『戦術』という言葉を聞いたことはありますか?
見ての通りのこの言葉、実は軍用用語で、広義では下記の通りになります。
戦略:戦いに勝つための総合的・長期的な計略。
戦術:戦いに勝つための個々の具体的な方法。

では、これを仕事に転用するとどうなるか?
簡単です、「戦い」を「ビジネス」に変えるだけです。

ビジネス戦略:ビジネスで勝つための、総合的・長期的な計略。
ビジネス戦術:ビジネスで勝つための個々の具体的な方法。

簡単に要約すると、
戦術とは、戦略(目標)を実行するための手段(施策)を決め実行すること。
実際の行動を実施する領域と言えます。

では、ビジネスモデルとビジネスプランは、どう当てはまるかが重要です。
私のイメージは下記の通りです。

1)ビジネスモデル
└『何をどのように提供して利益を生み出し、自社を成長させるのか』という仕組み

2)戦略
└長期的な目標

3)ビジネスプラン=戦術
└戦略を達成するための施策、短期的な目標

想像いただけると思いますが、ビジネスモデルと戦略は、軽々に変更することはできません。

ビジネスモデルを変えると…
└ビジネス全体の見直しが発生する

戦略を変えると…
└ゴール(目標数値など)が変わるので、施策や短期目標を大幅に変える必要がある

なので、ビジネスプラン=戦術が、日々改善を加えることができるポイントだと考えています。

ご興味ある方は、下記の書籍をオススメします。

エッセンシャル版 マイケル・ポーターの競争戦略

https://www.hayakawa-online.co.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000007056

読んだことがある方も多いと思いますが、マイケル・ポーターの「競争の戦略」と「競争優位の戦略」のエッセンスを凝縮したまとめ本です。
現在も、ほとんどのMBAコースで取り入れられている、教科書的な書籍です。

私も、ベーシックなビジネス書籍ということで、何度も読み返しました。
まだ読んだことの無い方には、必読書としてオススメしたいです。

2.品質にこだわる『ビジネスプラン=戦術』のルール

ビジネスプラン=戦術は、施策や短期的な目標です。
例えば…
└今月の売上を達成する
└今週中に、〇件のメルマガを送る
└今日中に、〇件の新規アポイントを取る
└午前中に、製品の納入チェックを終わらせる

企業によって長期・短期は変われど、大きな目標(年単位で達成すべき目標)に対しての、プロセスに変わりありません。

上記の例なら、状況にもよりますが、遅延や変更をすることもあると思いますし、変えるべき部分です。

そして、ビジネスプランを変えるときのルールを決めました。
シンプルに『品質は追求できているか』を、言葉に出すことです。
これは、とても効果的なルールでした。

3.『ビジネスプラン=戦術』にのまれてはいけない

目標は重要です。
しかし、目標だけに捕らわれると、重要な視点が失われます。
特に、変えても良い『ビジネスプラン=戦術』に捕らわれると、大きな痛手を負います。

実際に、私達もビジネスプランの落とし穴に落ちました。
私のビジネスモデルの中には、『品質を追求する』ことが掲げられています。
製品チェックの期日が迫る中、『品質を追求する』ことがおろそかになりました。

当初より、他社製品には引けをとらないクオリティのサンプル製品ができあがっていました。
しかし、確信は持てていなかったものの、改善の余地の可能性も薄々感じていました。
サンプル製品承諾の期日が迫る焦りで、『クオリティは問題ない』というから、製品としてOKを出す準備をしていました。

これに待ったをかけたのは、製造を担ってくれているパートナー企業様でした。
もっと改善できるから、多少時間をかけても改善しましょうという提案です。
私達の『品質は追求できているか』を意識し、自社に手間も時間もコストもかかることを承知での内容でした。

改善されたヘッドセットは、私の予想の上をいく出来でした。
本来私達が担うべきクオリティレベルの判断を、パートナー企業に指摘されたことは痛恨の極みでした。

これを機に、私達は必ず『品質は追求できているか』というキーワードを言葉に出すようにしています。

そして定期的に、『ビジネスプラン=戦術』を間違えないために、ビジネスモデルと戦略をチームで見返しています。

4.『ビジネスプラン=戦術』を理解して、ビジネスモデルと戦略が生きる

『戦術』の性質を見誤ると、長期目標である戦略が達成できません。

ビジネスモデルを達成する方法として『ビジネスプラン』があることを認識し、柔軟な変更ができるチーム環境づくりが必要です。

ここを理解して初めて、ビジネスモデルと戦略が生きてきます。
次回は、ビジネスモデルについて、どのように思考したかをご紹介できればと思います。

記事 : R.S

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