2023年3月27日

地方自治体様向け水産物の産地トレースシステム開発

株式会社デンソー 様
業種:自動車部品メーカー
規模:売上高 5兆5,155億円 2022年3月期

株式会社デンソー様は、自動車に関する熱機器、パワトレイン機器、電子機器などを手掛ける車載事業をはじめ、インダストリアルソリューション、フードバリューチェーンなど非車載事業分野で、モビリティで培った技術を広く社会に貢献するソリューションを提供されています。

背景と目的

地方自治体様より、昨今発生している農林水産物の産地を証明するため、水産物のトレーサビリティシステムを構築したいというご依頼をデンソー様が受け、要件定義から保守・運用まで全ての工程で再春館システムが支援させていただきました。

実施内容と構築したシステムの概要

■システムの仕組み
トレースシステムは全てWEBブラウザ上で機能し、PC及びスマホから使用できます。

■ 業務特性
お客様に業務のヒアリングをしていくと、下記のような状況下でシステムを使用するということが見えてきました。

・セリや紙伝票でのやり取りなどのアナログ作業ではスピーディな作業完了が求められる。
・手袋をしていたり、水に濡れた状態でスマホを触ることがある。

このように、水産物の流通では、WEBブラウザで作業することに適していない状況下で作業をすることが多く、業務特性に合ったシステム作りが必須になります。

こういった状況に適用するため、
・入力作業を極力減らすため、情報の登録、取得にはQRコードを活用
・操作ミスを防止するため、ボタンや入力項目を巨大化
といった対応を行いました。

結果、短時間でかつ簡単に業務を完了でき、システムのUXを向上させることに成功しました。

■ システムフロー
①生産者(出荷元の業者)が出荷する水産物の情報(出荷量など)を付与したQRコード®を作成する
②出荷元の業者は出荷処理を行い、出荷先の業者にQRコード®を渡す
③出荷先の業者は、渡されたQRコード®を読み取り入荷処理を行う
更に次の出荷先がある場合は①~③を繰り返します。
また、販売店の場合は水産物の販売した量も登録・監視します。
また、システムに登録していない量の水産物が出荷された場合、入荷登録する業者が異変に気付くことが出来ます。
こうした仕組みで水産物の産地証明を実現しています。

■ 開発・インフラ
今回の開発は、要件定義からリリースまでの期間がとても短いものとなっていました。
そのため、インフラはAWSのLambdaとAPI Gateway、DynamoDBを使用したサーバレス構成としました。
結果、極力アプリケーション開発のみに専念することが可能となり、期間内でのリリースを達成できました。
サーバレス構成のため、サーバ管理も必要なく、使用料金もEC2やRDSなどに比べ低コストでの保守・運用を実現しました。

バックエンドの処理にはNode.jsを、フロントエンドの処理にはVue.jsを採用しています。
また、Vue.jsでの開発にはフレームワークとしてquasarを使用しており、簡単にモダンなUIの作成が可能となっています。
再春館システム側の開発体制は、設計/結合テストを再春館システムの日本法人、PG/UTを再春館システムのベトナム法人が担当しています。
このように、モダンなアプリケーションを高速で構築できる技術力が、再春館システムにはあります。

成果

デンソー様と共に業務特性を理解しシステムを構築したおかげで、実際にシステムを使っていただいているお客様からは「操作が簡単で作業負荷は低い」との評価をいただいており、システムは好評でした。
カットオーバー後も追加の仕様変更業務を継続していただいており、今後も更なるシステム改善に取り組んでいく予定です。