2024年11月6日

コールセンター業務を革新するクラウドコンタクトセンターの真価

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はじめに

ご無沙汰しています。コールセンター関連の記事を担当しているR.Sです。前回のブログから少し間が空いてしまいましたが、今回は視点を変えて、最近特に関心が高まっているクラウドコンタクトセンターがどのようにコールセンター業務を変革しつつあるかについて触れていきます。
前回のコールセンター記事はこちら

私どもは、コールセンターの改善と運用に長く携わってきました。また、多くの企業のビジネス全般に関わる支援も行っております。クラウドコンタクトセンターがもたらす真価をもっと近くで感じており、その経験を少しでもお伝えできれば幸いです。

 

オンプレミスからクラウドへ「コールセンターの進化」

かつて、コールセンターはオンプレミスのシステムに依存していました。これらのシステムは、初期投資が高く、メンテナンスにも多大なコストがかかります。また、新しい機能の追加や急な需要変動に対応することも困難でした。しかし、クラウドコンタクトセンターの登場により、これらの課題は劇的に解決されています。
クラウドコンタクトセンターの最大の利点は、柔軟性とスケーラビリティです。必要に応じて迅速にスペックやリソースの拡張・縮小ができるので、コスト効率も高まります。例えば、繁忙期には簡単に席数を増やすことができ、閑散期には必要最低限のリソースに削減することも可能です。これにより、企業はコストを最適化しながら、顧客サービスの質を維持することができます。

 

クラウドコンタクトセンターの利点

クラウドコンタクトセンターは、最新の技術と柔軟性を活用し、企業のニーズに応じた迅速な対応を可能にしました。その主な利点を以下と考えております。

●スケーラビリティ: 前述しておりますが、クラウドコンタクトセンターは、必要に応じて席数やリソースを柔軟に調整できます。繁忙期には即座に拡張でき、閑散期にはリソースを最小限に抑えることでコストを削減します。これにより、企業は顧客対応の質を落とすことなく、効率的な運営を常時維持することができます。

●最新機能の利用と柔軟なアップデート: クラウド型コンタクトセンターでは、常に最新の機能を迅速に利用できるため、顧客のニーズに素早く対応することが可能です。システムのアップデートもクラウド上で簡単に行われるため、最新の機能や技術を常に活用でき、運用コストを抑えながら競争力を維持できます。これにより、市場の変化に迅速に適応し、顧客満足度を持続的に向上させることができます。

 

カスタマーエクスペリエンスの向上

クラウドコンタクトセンターを導入することで、カスタマーエクスペリエンスが大きく向上します。以下は代表的な理由です。

●統合された顧客情報: クラウドシステムにより、顧客の情報が一元化され、オペレーターは迅速に情報を引き出して対応することができます。これにより、顧客は一貫したサービスを常に受けることができ、満足度向上に役立てることができます。(こちらはオンプレミスのシステムでも実現できている場合もあります。)

●オムニチャネル対応: 電話、メール、チャット、SNSなど、さまざまなチャネルを通じて顧客とコミュニケーションを図ることができるため、顧客は自分の好きな方法で企業と接触することができます。また、新たなSNSやツールが台頭した場合にもクラウドシステムのアップデートにより追加対応が可能となります。

●詳細な分析機能: 顧客とのやり取りを詳細に記録し、分析する機能を持っています。この分析データは、顧客のニーズや傾向を把握するのに役立ち、サービスの改善に活用されます。また、オペレーターのパフォーマンスをモニタリングし、効果的なトレーニングを行うことで、業務の効率化が図られます。これにより、顧客対応の質をさらに高めることが可能になります。

 

在宅化・デジタルトランスフォーメーションの加速

クラウドコンタクトセンターは、在宅勤務を可能にするための理想的なソリューションです。特にコロナパンデミックを通じた経験や、昨今の異常気象の影響により、在宅勤務の重要性が増しています。クラウドベースのシステムは、インターネット接続さえあればどこからでもアクセス可能で、従業員は自宅からも快適に業務を遂行できます。

●在宅勤務の利点: 異常気象や自然災害といった不可抗力による通勤リスクを解消できる点は大きなメリットです。これにより、オフィスに出勤できない状況でも、業務を中断せずに継続することが可能になります。さらに、従業員は通勤時間を削減でき、柔軟な勤務時間の設定が可能になることで、ワークライフバランスの向上が図れます。

●セキュリティの強化: クラウドコンタクトセンターは、セキュリティ面の強化が年々されています。暗号化通信、IPアドレスによるアクセス制限、バックアップオプションなどサービスによって様々ですので、自社に適したサービスを選択することが重要です。セキュリティのアップデートもクラウド上で行われるため、最新技術を活用し、リモート環境においても顧客データを安全に保護します。
 

クラウドコンタクトセンター導入を支援するパートナーの重要性

クラウドコンタクトセンターの導入において、支援パートナーの役割は非常に重要です。導入支援パートナーは、単なる技術提供だけでは満足いかない場合があります。ビジネス全体を広く理解していることが必要であり、その企業の状態に適した最適なソリューションを提供するパートナー選定も重要であると言えます。
クラウドコンタクトセンターはその柔軟性が魅力なのですが、適切な活用には専門的な知識が不可欠です。導入プロセスでは、業務フローの最適化やシステムのカスタマイズ、オペレーターのトレーニングが求められます。ビジネスを理解し、専門的な知識を持った経験豊富なパートナーを選ぶことで、スムーズな移行を実現することができるわけです。導入後も継続的なサポートにも期待ができます。

 

導入事例:通信販売企業 A社(70席)

A社では従来型のオンプレミスシステムを利用していましたが、顧客のニーズに応じた迅速かつ効率的な対応に限界を感じていました。そこで、効率化が図れるよう常に最新機能を利用でき、短期間での導入可能な、クラウドコンタクトセンターの導入を決定しました。クラウドコンタクトセンターの導入によって、A社は以下のような改善を実現しました。

●課題: 従来のシステムでは、オペレーターが手動で行う作業が多く、応答時間が遅延することが課題でした。また、顧客情報の管理が分散していたため、顧客とのコミュニケーションに一貫性が欠けていました。

●導入のプロセス: A社は、専門の導入パートナーと協力し、初期段階では業務フローの詳細な分析を行いました。これに基づいて、最適化の計画を策定し、必要な機能を特定しました。また、自動化ツールの選定とカスタマイズを行い、併せてオペレーターのトレーニングも実施。すべての工程をスムーズに進めた結果、約5か月でクラウドコンタクトセンターを稼働させました。

●応答速度の向上: AIによる自動ルーティングシステムを活用することで、顧客の問い合わせを適切なオペレーターに迅速に届け、応答時間を約30%短縮しました。これにより、顧客満足度を向上させ、クレーム発生率も大幅に減少しました。さらに、顧客情報を一元化することで、情報が分散しているために生じていたコミュニケーションの一貫性の欠如も解消。統合されたデータベースを利用することで、オペレーターはすべての顧客とのやり取りを把握し、個別対応を強化することが可能となりました。

●オペレーターの生産性向上:チャットボットが簡単な問い合わせを処理することで、オペレーターはより高度な対応に集中することができ、作業効率が20%以上向上しました。また、通話録音や分析機能を活用したフィードバックに基づき、オペレーターのトレーニングプログラムを強化しました。これにより、実際の通話データに基づいた改善が行われ、オペレーターのスキルアップに繋げることができました。

●顧客満足度の向上: サービスの迅速化により、顧客満足度が15%向上しました。顧客からのポジティブなフィードバックも増加し、リピーターの増加につながっています。

 

さいごに

クラウドコンタクトセンターは、コールセンター業界に大きな革命を起こしています。今回はその基本的な利点について触れました。少しでも皆さんの参考になれば嬉しいです。

記事 : R.S

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