既製品では届かない現場の最適解をフルスクラッチで実現。
工程管理システム『RYUSEi』が加速させる製造DX。
【お話を伺いました】
伸和コントロールズ株式会社
装置第2事業部 生産統括部 生産技術第1課 課長 古場 俊文 様
経営企画本部 情報システム部 情報システム課 高瀬 大樹 様
装置第2事業部 生産統括部 製造部 製造1課 課長
兼 装置第2事業部 生産統括部 製造部 製造3課 課長 鈴木 公司 様
伸和コントロールズ株式会社 様
業種:精密温調装置、電磁弁、電動バルブ等の開発・製造・販売・サービス
伸和コントロールズ様は1967年に設立された機器、装置メーカーで、高度な流体制御技術と温度・湿度制御技術により半導体製造装置や航空宇宙開発などの幅広い分野に製品を提供されています。
お客様のニーズに合わせた製品開発と高品質な製品供給、長年にわたり培った実績と技術力で高い信頼性を持つ、ものづくりの分野におけるリーディングカンパニーです。
【導入の背景】 散在する情報、属人化した管理からの脱却
再春館システム: まずは、今回の工程管理システム導入を検討された背景と、当時の現場の状況について詳しくお聞かせください。
伸和コントロールズ様:以前の私たちの現場ではTPSの取り組みを進め、工程設計を実施していましたが、作業指示や実績管理は依然として手作業や紙が中心でした。その結果、作業指示、進捗状況、実績記録といった情報がホワイトボードやExcel、個人のメモ帳などに散在し、「情報の孤島」が乱立している状態にありました。
再春館システム: それが業務上の大きな壁になっていたのですね。
伸和コントロールズ様: はい。特に「つぎはぎの管理」がボトルネックとなっていました。基幹システムからExcelに手動でデータを移し、リーダーが経験則で一日の計画を立て、それを紙の指示書にして配布する。現場でトラブルが起きても、その情報は口頭でしか共有されず、管理者が状況を把握した頃には手遅れということも少なくありませんでした。
再春館システム: 現場の「勘と経験」に頼らざるを得ない状況だったのですね。
伸和コントロールズ様: そうなんです。ベテランの判断は確かに正確ですが、それでは組織としての成長に限界があります。コンサルタントを交えた生産性向上活動を進める中で、このアナログな手作業をデジタル化し、データを一元管理して「見える化」することが、私たちのDXにおける最優先課題だと確信しました。
【選定の理由】 なぜパッケージではなく「フルスクラッチ」の道を選んだのか
再春館システム: 工程管理システムには多くの既製品(パッケージ)がありますが、あえてゼロからの「フルスクラッチ開発」を選択された理由は何でしょうか。
伸和コントロールズ様: 実は、最初はパッケージ製品も検討しました。しかし、私たちの製造工程は非常に特殊で、標準的な機能ではどうしてもカバーできない「痒い所」が多かった。無理にパッケージを導入しても、結局は現場が使いこなせず、Excel管理に戻ってしまうリスクがありました。
再春館システム: カスタマイズを重ねるよりも、最初から自社の形に合わせる方が良いと。
伸和コントロールズ様: その通りです。パッケージの仕様に業務を合わせるのではなく、私たちの理想の業務フローをシステム化したい。カスタマイズ費用を積み上げて妥協点を探るくらいなら、最初からフルスクラッチで「現場に100%フィットする武器」を作る方が、中長期的な投資対効果が高いと判断しました。
再春館システム: ベンダー選定では5社を比較されましたが、フルスクラッチという難しい要望に対する弊社の対応はいかがでしたか。
伸和コントロールズ様: 再春館システムさんは、私たちの本音を引き出すのが非常に上手かったです。単に「何を作りますか?」と聞くのではなく、私たちの課題の本質を理解しようとする「踏み込んだ姿勢」がありました。再春館システムさんなら、私たちの複雑な要件を形にしてくれるという確信が持てました。
【導入後の変化と未来】 『RYUSEi』が現場に光を当てる
再春館システム: そうして完成したシステムには『RYUSEi(流星)』という名前が付けられましたね。
伸和コントロールズ様: はい。「流星」は、宇宙の小さなチリが大気圏で輝く現象です。現場に転がっている一つひとつは小さな数字かもしれませんが、システムでそれらを集め、磨き、光らせれば、誰もが価値を感じられる「情報」に変わる。そんな願いを込めて命名しました。
再春館システム: 実際に『RYUSEi』が稼働し始め、現場に変化はありましたか。
伸和コントロールズ様: まずは一部の製造ラインから導入を開始しましたが、進捗や工数の「見える化」において確かな手応えを感じています。進捗がデジタルで可視化されたことで、リーダーが状況確認に走り回る時間が劇的に減りました。パッケージでは実現できなかった「現場が本当に見たかった画面」が目の前にある。これはフルスクラッチだからこそ得られた成果です。
再春館システム: スモールスタートで着実に成果が出ているのですね。一方で、全社展開に向けた現在の状況はいかがでしょうか。
伸和コントロールズ様: 正直に言えば、運用の定着にはまだ課題も残っています。実際に使ってみると、ボタンの挙動や「中断」機能の持たせ方などで現場との認識に相違があったり、導入当初はマスター設定が不十分で、リーダーが締め処理のために残業しなくてはならないケースもありました。
また、現場にとって導入効果は後から見えてくるものなので、現時点では「なぜこれを使うのか」という点での腹落ちがまだ完全ではありません。そのため、今はリーダーが粘り強く「言い続ける」ことやルール化を徹底することで、無理矢理にでも使わせているという側面もあります。
現在はこうした運用面での課題を一つずつ潰している段階ですが、まさに暗闇にいたデータが光となって共有される感覚を味わっています。こうした現場の泥臭い課題を丁寧に拾い上げ、再春館システムさんと一緒に解決していくプロセスこそが、私たちの目指すDXに直結しているのだと実感しています。
【製造業のDX化推進への提言】 成功の鍵は「パートナー選び」
再春館システム: 最後に、これからIT化・DX化に踏み出そうとしている製造業の皆様へ、アドバイスをお願いします。
伸和コントロールズ様: DXの障壁は、技術そのものよりも「自社の業務にどう適合させるか」にあります。既製品を無理に当てはめて失敗するケースは多い。もし自社の業務にこだわりがあるなら、恐れずにフルスクラッチという選択肢を検討すべきです。
再春館システム: そのためには何が重要だと思われますか。
伸和コントロールズ様: パートナー選びです。単なる「開発会社」ではなく、現場に深く入り込み、ユーザーの視点に立って一緒に悩んでくれる「伴走者」を見つけること。再春館システムさんのように、現場の小さな数字を価値ある情報へと変えるために汗をかいてくれるパートナーがいれば、独自の強みを活かしたDXは必ず成功するはずです。
再春館システム: 本日は貴重なお話をありがとうございました。全社展開の成功に向けて、引き続き全力で伴走させていただきます!
◆納入システムのまとめ
●システム名: RYUSEi(流星)
●開発形態: フルスクラッチ開発(完全オーダーメイド)
●課題: 現場独自の複雑な工程管理、情報の散在、Excel・紙によるアナログ運用の限界。
●解決策: 既製品では対応困難な特殊要件を、1ヶ月間の現場常駐による徹底した現場目線の設計でシステム化。
●効果: 一部製造ラインでの進捗・工数の可視化。現場に100%フィットする操作性の実現と管理工数の削減。
●今後の展望: 運用面の課題を解決しながら、全機種・全ラインへの展開を目指す。オーダーメイドならではの拡張性を活かした、さらなるデータ利活用。