2022年8月31日

新型コロナウイルスの流行によるオフショア開発の変遷

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再春館システムベトナムの舘です。
今回は、新型コロナウイルスの流行によるオフショア開発の変遷について、現地での生活を通して感じたことをお伝えしていきたいと思います。

ベトナムのオフショア開発と新型コロナウイルスの影響

ベトナムはこれまで、オフショアの委託先として人気を集めてきました。2021年の調査では、オフショア開発の約50%がベトナムを委託先として選択しているとの結果もあります。(オフショア開発白書(2021年版)より)

東南アジアの多くの国同様、ベトナムでは平均年齢が低く若者が多いことに加え、国全体でIT教育に力を入れています。そのため、開発費が安いことに加え、若くて優秀なエンジニアが多いことが、ベトナムがオフショア開発の委託先として人気な理由となっているようです。
また、2020年からの新型コロナウイルスパンデミックによって、多くの企業がリモートワークを導入したことにより、オフショア開発が更に注目されています。リモートワークを導入することは、ツールなどを利用した遠隔でのやりとりが必須となるオフショア開発へのハードルが下がるきっかけとなったといえるでしょう。

新型コロナウイルス対策と規制

新型コロナウイルス流行当初、海外からの入国は当然の如く厳格な水際対策がとられ、ベトナム国内でも、飲食店の営業休止や営業時間の短縮、各種イベントの中止など、日本と同様の措置もとられていました。ただ、ベトナムはそれらに加え、日本よりもかなり厳しい規制も実施していました。

まず、基本的に、生活に必要な買い物や近所の散歩などでも、自由な移動は許可されませんでした。市内にはバリケードが設置され、買い物を含む外出が必要な際は、公安当局が発行するカードが必要となります。規制を守らなければ、当局による罰則があるほどです。日本も、緊急事態宣言などで移動の自粛を求めていましたが、必要な外出は認められていましたし、例え外出をしても警察に罰せられるようなことはなかったはずです。この点では、ベトナムはかなり厳格な措置が取られていたのです。

ハノイオフィスのリモートワークへの取り組み

新型コロナウイルスに対する政府の厳しい規制の中、会社への出社も制限されたことで、弊社ハノイ拠点のオフィスではリモートワークを導入しました。一方で、弊社フエ拠点のオフィスではハノイのような厳しい規制はなく、フエオフィスでは1度もリモートワークを実施する必要がなかったのです(陽性者除く)。日本同様、地域によって規制の程度は異なり、感染者数が多くなりやすい都市部では厳しい傾向にあったからです。

リモートワークを導入するにあたり、日本でも多くの企業で課題を抱えていたかと思いますが、ベトナムも同様です。コミュニケーションの取り方や、スケジュールの管理など多くの課題がありました。また、コロナ禍以前、日本では若い世代を中心に、会社の宴会や社員旅行を忌避する傾向がありますが、ベトナムは逆です。人によるところもありますが、全体的に、大勢で集まってワイワイするような会社のイベントなどを好む傾向にあります。そういった傾向のためか、コロナ禍でもリモートワークよりも出社を好む人が多いようです。

ハノイオフィスでは、上記のようなリモートワークの課題を少しでも減らすため、いくつかのツールを導入しました。例を1つ挙げると、「SpatialChat」というツールがあります。これは、バーチャルオフィスのようなもので、ログインすると、バーチャルのオフィス内の自席に座ることができたり、隣の席の人と会話したりすることができます。そのようなツールを使用し、オフィスになるべく近い環境を作ることで、リモートワークでの勤務でも、なるべくモチベーションの低下を軽減できるような工夫をしました。その結果、特に大きな問題が発生することなく、リモートワークの期間を終了することができました。

新型コロナウイルスの状況と今後

ベトナムは、2022年8月現在、観光客を含む外国人の入国に対する規制などは特に定められていません。2021年10月頃から規制が徐々に撤廃されはじめ、現在では、新型コロナウイルス流行以前と変わらない条件で入国できます。現在、まだ陰性証明書の提出、ワクチンの接種回数などで、隔離や入国の制限がある国は多いですが、ベトナムにはそのような規制は一切ありません。

連休などは、バスや飛行機などのベトナム国内における主要な移動手段はほとんど満席となっており、観光に対する活気も戻ってきています。ハノイでも旧市街など外国人に人気のエリアでは、欧米を中心に海外からの観光客と思われる人も多く見られます。現在、繁華街は夜遅くまで人も多く、賑わいを見せています。4月頃は規模の大きなお店、チェーン店などは入店時に来訪記録を残すためのQRコードを専用アプリでスキャンする必要がありましたが、現在ではそれも撤廃されています。

世界的に入国規制の緩和が進んだこともあり、ベトナムは完全に規制が撤廃された国として、世界的に見ても、かなり入国しやすい国だと言えます。
良くも悪くも、経済成長に重きを置いた政府の政策により、ベトナムは諸外国に比べかなり新型コロナウイルスに対する規制が少ない国となっており、その成果もあり、ベトナムは経済が回復しつつあります。また、冒頭でも述べたように、新型コロナウイルスパンデミックによるリモートワークの導入は、オフショア開発を身近なものにするきっかけとなっています。

そのような状況下から、今後もベトナムのIT産業はますます発展を続けていくものと予測でき、オフショア開発においてはこれからも候補地の1つであり続けるものと考えています。

記事 : C.T

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