2023年1月12日

AWS(Amazon Web Services)とは

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皆さんは『AWS』というサービスを知っているでしょうか。AWSとは、Amazon Web Servicesの略称です。耳にしたことがある方もいるかと思います。私は配属されているプロジェクトで初めて知り、現在猛勉強中です。なにやら便利で良いものらしいことはわかっていても、具体的にどのようなものなのか見えづらいかもしれません。
本ブログでは、AWSの概要と特徴、メリットなどについて、入社一年目のメンバーが解説します。

1.Amazon Web Servicesとは

Amazon Web Services(AWS)は、クラウドコンピューティングサービスの1つです。インターネット販売で有名なAmazon.comが、自社のノウハウを活かして提供しています。
クラウドコンピューティングサービスとは、簡単に言えば、サーバーやネットワークなどをインターネット経由で貸してくれるサービスで、いつでもどこでも始めることができます。
Amazon EC2やAmazon S3という言葉を聞いたことがあるでしょうか。それらは、AWSで提供されるサービスの名前です。
AWSでは、コンピューティング、ストレージ、データベース、分析、ネットワーキング、モバイル、開発者用ツール、管理ツール、IoT、セキュリティ、エンタープライズアプリケーションなど、多岐にわたるサービスが用意されています。AWSの様々なサービスを組み合わせれば、あらゆるアプリケーションやインフラを実現することができます。

・システム運用に必要なサービス一式を借りられる
AWSが貸してくれるものは、Webサイトや業務システムを運用するのに必要な機能すべてといっても過言ではありません。コンテンツ以外のおおよそほとんどの機能やサービスが借りられます。
レンタルサーバーのように、「サーバーを貸してくれる」サービスは、昔から存在します。AWSが特徴的なのは、バラバラの事業者からそれぞれ借りなければならなかったインフラを、一括で借りられること、OSやWebサーバー、データベースサーバー(DBサーバー)などに必要なソフトウェアまで丸ごと手配できることです。

・サービスを組み合わせやすい
多岐にわたるサービスが提供されているため、何か始めようと思ったときに、必要な機能はAWSだけでほとんど揃います。AWS内で複数のサービスを組み合わせてサービスを構築することも容易です。特に、サービス間の連携は年々強化されています。

・従量制なので使う分だけ借りられる
AWSの料金は従量制です。使った分だけ払うのが基本です。そのため、将来のことは考えず、今必要な分から始められますし、足りなくなったらその都度追加が可能です。自分が必要だと思う分だけ借りられるのです。ただ、知らず知らずのうちに使用していて、莫大な請求が来たという例もあるので、十分注意して使用しましょう。

・専門家でなくても使える
AWSには、あまり技術に詳しくない人でも操作できる、様々な仕組みが備わっています。そのため、ある程度の規模であれば、ネットワークやサーバーの専門家でなくても使えます。またパソコンのWebブラウザでアクセスして操作するため、インターネット環境があれば、いつでもどこでも操作可能です。

・日本語と日本円の支払いに対応している
AWSのほとんどのサービスが、日本語に対応しています。料金も、単価はUSドルで表示されますが、日本円で支払うことができます。現在の為替変動の円安についても認識が必要です。
また東京と大阪に、日本担当チームが導入にあたっての相談窓口を設けているので、概算見積もりやシステム導入に関する相談などを行えます。

・セキュリティの基準
各国およびグローバルのコンプライアンス認証および証明がなされており、法律・規則・プライバシー基準に準拠しています。日本の基準としては、FISC(公益財団法人 金融情報システムセンター)、FinTech、医療情報ガイドライン、政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準群に準拠しています。

・グローバル展開しやすい
AWSでは、サーバーなどを置いて運用するデータセンターを、世界の21のリージョン(地域)にある66のアベイラビリティーゾーン(施設)で運用しています。そのため、グローバル展開したい場合でも、サイト閲覧者やシステム使用者に、地理的に近い場所のリージョンでサービスを開始できます。日本でも、東京リージョンと大阪リージョンがあり、多くのユーザーが東京リージョンを使用しています。

2.AWSのサービス

AWSのサービスは175種類以上もあり、カバーする領域も多岐にわたります。代表的なサービスであるAmazon EC2やAmazon S3だけでなく、データベースサーバーやネットワーク、機械学習やロボット開発にかかわるサービスも提供されています。


AWSのクラウドサービス群(出典:アマゾンデータサービスジャパンの資料)
https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1507/21/news088.html より引用

・目的別に様々なサービスを提供
AWSでは、何を借りられるのでしょうか。何か一つだけでも借りられますし、必要なもの一式をまとめて揃えることもできます。
サーバー一式や、管理に必要な機能一式のほかに、分析システムや仮想デスクトップ、監視ツール、ロボット開発に必要なツールなども借りられます。また、機械学習や人工知能、ブロックチェーン、人工衛星に関わる技術など、最先端の技術もすぐに提供されます。

a.WebサイトやWebサービスの構築・運用を行うことができる
その際に使用するサービスがAmazon EC2(Amazon Elastic Compute Cloud)やAmazon Lightsailです。
Amazon EC2などを使い、サーバーを構築し運用します。WindowsやLinuxといったOSが選べたり、Core数やメモリ内容が選べるインスタンスタイプ、サーバーにアクセスするポートを設定するセキュリティグループなど、幅広いカスタマイズが可能です。早ければ5分程度でサーバー構築が完了するスピーディーさも魅力です。
Amazon Lightsailを使用すれば、WordPressなどのアプリケーションと組み合わせることで、WebサイトやWebアプリケーションを短時間で作成可能となります。

b.データのバックアップや災害対策に活かすことが可能
Amazon S3(Amazon Simple Storage Service)といったインターネットストレージを利用することで、様々なデータを保管できます。インターネット上でデータを保管することで、たとえば企業の本社所在地で災害が発生した場合でも、重要なデータを紛失することなく保存することが可能になります。また、そのデータもインターネット環境があれば利用可能なので、災害後の復旧も早くなります。最近では、日本でも災害対策の重要性が再認識されつつあるので、もしもに備えてデータをインターネット上で保管する動きが広まってきています。

c.ビックデータの蓄積・分析・運用
顧客情報やIoTサービスで収集したデータや企業が扱う膨大な量のデータを分析・運用まで行うことが可能です。
Amazon EMR(Amazon Elastic MapReduce)を利用することで、集積したデータを機械学習などを利用して解析することができます。
このサービスを企業が利用することで、例えば顧客のニーズを調査したうえでニーズに合った商品の開発に活かしたり、広告表示の参考にすることもできます。
ビックデータの活用は、自社だけでなくもっと膨大なデータを活用できるので、より市場の動向などを掴みやすくなることでしょう。

d.基幹・業務システムの構築
AWSは、顧客管理や販売管理、給与計算といった基幹・業務システムの構築にも使えます。会計システムや給与システムをAWSに移行した結果、ハードウェアのサポート切れやサイジング等の課題から解放され、運用管理がとてもスムーズになったという企業もあります。
他にも物流管理システムやトレードシステムなど、ジャンルを問わず、多くの基幹・業務システムの構築に使われています。

e.統合開発環境(IDE)の構築
「Amazon Cloud9」を使えば、Google ChromeやSafari、Firefoxといった各種ブラウザ上で動く、快適な統合開発環境を構築できます。Amazon Cloud9は40以上のプログラミング言語をサポートしており、それぞれの言語を扱うのに必要なツールがパッケージ化されているうえ、リアルタイムでコードチェックが可能です。チャット機能も組み込まれているため、何人ものメンバーが絡む開発現場でも快適に作業を進められます。また、クラウド上で動くサービスなので、自宅や旅先、海外からでも利用可能です。

3.AWSを用いて開発されているサービス

シャープ(COCORO+)

シャープでは、近年、家族とともに暮らす家電だからこそ「人に寄り添う」存在でありたいと考え、人のようにココロを持つ家電の開発、提供に力を入れています。
その取り組み「COCORO+」では、クラウドに接続し AI と IoT の技術を組み合わせて人工知能(AIoT)化することで、人に寄り添う家電の提供を実現しています。
エアコンや冷蔵庫、洗濯機、空気清浄機、さらにはウォーターオーブンの「ヘルシオ」などの AIoT 化です。これらの家電製品のラインナップには、インターネットに接続するモデルが用意されており、シャープでは、クラウドを活用してより人に寄り添う家電の提供を実現しています。
出典:https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/sharp/ より一部引用

任天堂(ゲーム環境)

世界中にサービスを展開するためにAWSを活用されています。
Super Mario Run の配信を開始した当日は、待ちわびた世界中のユーザーからのアクセスが一気に集中しましたが、AWS のインフラは十分なレスポンスを返し続けてくれました。ここまで何も大きな障害が発生しないケースは、大量のアクセスが想定されるゲームの配信開始時では極めてまれなことですし、2017 年 3 月時点で 8,000 万ダウンロードを突破する規模になっても AWS で特に問題は起こっていません。
出典:https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/nintendo-dena/ より一部引用

ANA(データ分析基盤の強化)

ANAでは、ビッグデータを人工知能(AI)や機械学習などの最新デジタル技術に融合させることで、分析業務の大幅な効率化・高度化を狙いました。
ANA がオンプレミス環境で運用してきたデータ分析基盤のデータウェアハウス(DWH)は、度重なる追加開発の複雑化、ディスク容量の逼迫、バッチ処理の長時間化、運用業務の負荷増大などに直面していました。
データの戦略的な活用には柔軟性と拡張性を備えたデータ分析基盤が必須と考えた ANA は、DWH のクラウド移行を決断します。複数のサービスを検討した中からマネージド型 DWH の Amazon Redshift と、Amazon EC2、Amazon S3、Amazon Aurora などを採用しました。
Amazon Redshift への移行によりパフォーマンスが向上し、ヘビーユーザーほど「レスポンスが速くなった」「使い勝手が良くなった」と実感しているといいます。
出典:https://aws.amazon.com/jp/solutions/case-studies/ana/ より一部引用

4.AWSの資格

AWSにはAWS自体が主催している認定資格があり、最近のクラウドシフトを受け、AWS認定資格の取得を目指す方が増えています。
基礎的な内容から実際の開発にも役立つAWS認定資格のうち、どんな資格を取得するのがおすすめなのでしょうか?

初心者レベル
・AWS認定Cloud Practitioner(クラウドプラクティショナー/CLF-C01)

AWS認定資格としては基礎レベルと位置付けられており、AWSサービスの全体的な知識を求められているため、まずは取得しておきたい資格です。

中級レベル
・AWS認定Solutions Architect(ソリューションアーキテクト)アソシエイト(SAA-C02)
・AWS認定Developer(デベロッパー)アソシエイト(DVA-C01)
・AWS認定SysOps Administrator(シスオプス アドミニストレーター)アソシエイト(SOA‐C02)

1年間のAWSクラウドを使用した問題解決と解決策の実施における経験が必要です。

上級レベル
・AWS認定Solutions Architect(ソリューションアーキテクト)プロフェッショナル(SAP-C01)
・AWS認定DevOps Engineer(デブオプス エンジニア)プロフェッショナル(DOP-C01)

2年間のAWSクラウドを使用したソリューションの設計、運用、およびトラブルシューティングに関する経験が必要です。

上級・プロフェッショナルレベル
・AWS認定Advanced Networking(アドバンスドネットワーキング)スペシャリティ (ANS-C00)
・AWS認定Data Analytics(データアナリティクス)スペシャリティ (DAS-C01)
・AWS認定Database(データベース)スペシャリティ(DBS-C01)
・AWS認定Machine Learning(マシンラーニング)スペシャリティ(MLS-C01)
・AWS認定Security(セキュリティ)スペシャリティ (SCS-C01)
・AWS認定SAP(サップ) on AWSスペシャリティ(PAS-C01)

難易度はプロフェッショナルレベルとされ、AWSの実務経験は2年以上、各分野での実務経験は5年以上あることが望ましいとされています。

5.まとめ

いかがでしたでしょうか。本ブログではAWSの概要やほんの一部の機能の説明をしました。今回紹介した『AWS』以外にも、『Microsoft Azure』や『google Cloud Platform』 などのパブリッククラウドも存在します。興味のある方はぜひ調べて、勉強してみてください。私と一緒に頑張りましょう!

記事 : システムインテグレーション部 T.K