2024年3月26日

品質管理について

quality

 

目次

Contents

 

【はじめに】

システム開発を行う際「品質管理」という言葉はよく聞く言葉だと思います。
「品質管理」はプロジェクトの開発手法(ウォーターフォール、アジャイル等)、規模、各会社において様々です。
今回のブログでは、ソフトウェア業界における「品質管理」について、私の従事したプロジェクトの経験を基にご紹介させて頂きます。

 

【品質管理とは】

ソフトウェア業界における「品質管理」は主に開発プロセス全体(各工程)で品質を確保するための取り組みを指します。
各工程で「定量・定性的分析」⇒「問題点の検知・分析」⇒「改善策の検討・実施」⇒「改善策効果の測定」のサイクルを繰り返し、最終的な成果物の品質を高めていきます。

 

【品質管理を行う目的】

品質管理が正しく行われていないと、以下の様なリスクがあります。

  • システム稼働後に不具合が多発し、お客様の事業が止まってしまう
  • 開発者側で問題点の検知が後ろの工程になればなるほど、その問題の対処に時間がかかってしまうためスケジュールが遅延してしまう
  • 開発者側の視点においても、何を目標に開発を進めていいか方針が不明瞭になってしまい、結果として、サービスの低品質化や開発者のモチベーションの低下にもなりかねない

品質管理を正しく行うことによって、高品質なシステム開発を行い、お客様の事業の安定やシステム利用者の方々の信頼を獲得、積み上げることにより、お客様の事業の成功に繋がります。

 

【品質管理の流れ】

ソフトウェア業界における「品質管理」は大きく以下の流れで実施していきます。

①プロジェクト開始時
品質計画を定めます。品質計画においては各工程における品質指標値を定め、
指標値について、お客様と合意形成を行う必要があります。
例としては以下の様な項目を定めます。

  • レビュー工数密度
  • レビュー指摘密度
  • 試験密度
  • バグ密度

品質指標値を定めることによりプロジェクトの方向性、目標が定まり、
定期的な品質評価を行うことによりプロジェクトの問題点や改善していく事項を特定し
品質改善活動の取り組みを行う土台ができます。

②各工程実施時
システム開発を行う上でレビュー記録や不具合記録の蓄積を行い、
蓄積された情報を基に、品質計画に定められた指標値と合わせて傾向分析を実施します。
傾向分析を行うためには各工程でレビュー指摘、不具合の分類を行う必要があります。
分類分けは、一例として以下の様なものがあります。

◇検出箇所分類
・XXX画面
・YYY機能
・ZZZバッチ
・試験仕様書
・試験エビデンス

◇原因分類
・誤字脱字
・表現不足
・設計ミス
・設計漏れ
・実装ミス
・実装漏れ
・調査不足
・検討不足
・スキル不足
・コミュニケーション不足
・標準化不足

上記の分類に加えて、各レビュー指摘、不具合に対して「直接原因」「根本原因」を記録し、
蓄積された情報の傾向をもとに分析を行い、水平展開確認、再発防止策の検討を実施して
品質を担保していきます。

③各工程完了時
工程完了時には以下を整理して「品質計画」時に定められた指標と比較し評価を実施します。

[ 蓄積された情報の傾向分析 ]
一例として、「ゾーン分析」で傾向分析を行います。
「ゾーン分析」は試験密度、バグ密度を9つのゾーンに分け、指標値より実施結果値が大きい、小さい、または指標値内であることを確認し、妥当性を判断します。
妥当性を判断する事により、追加でテストする必要があるのか、テストが多すぎないか、
ソースの再チェックが必要なのかなどを見極める事が出来ます。

[ 対策した品質改善活動 ]
よく行われるのは、傾向分析結果を基に、良くバグとして検出される事柄を
「チェックシート」に追加して、各開発者、レビュアが「チェックシート」を
基にチェックを行い、類似のバグが検出されることを防ぎます。

[ 対策の効果測定 ]
上記の対策を行った結果として、効果があったのかを測定する必要があります。
類似のバグが減るなどの効果が出れば良いですが、
効果が見られなかった場合は、対策自体が間違った方向性になっていたのではないか
など、実施中の工程の見直し、次の工程に向けて再度検討を行うなど
次の一手を検討する際の一助となります。

 

【おわりに】

今回は私の経験を基に、ソフトウェア業界における「品質管理」についてご紹介させて頂きました。

「品質管理」はよく聞く言葉ではありますが、実際に管理、実施していくと、
色々な問題や検討事項等が見える化され、俯瞰的にプロジェクトの状態を把握する事ができます。

弊社はこれまでに様々なお客様のシステム開発に携わらせて頂き「品質管理」を行うことにより、高品質なシステム開発を行ってきました。
「プロジェクトの品質に問題があるけど何から手を付けていいのかわからない、品質が改善されない」などでお困りの際は弊社にぜひご相談ください。

次回は「品質管理」でのあるあるについて、私の経験を基にご紹介させて頂きます。

記事:K.M

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